vol.776『年末年始営業』

人手不足を理由に、本部の同意を得ずに昨年2月に営業時間の短縮に踏み切って全国的に話題となった東大阪市の「セブン-イレブン・東大阪南上小阪店」が、“利用客から苦情が多数寄せられている”との理由により、昨年末をもってセブン本部とのフランチャイズ契約を打ち切られた。店のオーナー(男性・58歳)は、31日・1日と休業した後、2日から残った商品を店頭で販売し、売り切り次第また休業に入るが、同時に、裁判所に対して、営業を続けるための仮処分の申し立てを行い、店の明け渡しは拒否する考えだという。

コンビニ・フランチャイズ店の過酷な経営実態を世に訴え、“物言うオーナー”として一躍時の人となった件のオーナーだが、今後は裁判所がどのような判断を下すかもさることながら、やはり、世論をどれだけ味方に付けることができるかどうかがカギとなるのではないか。世論調査の結果では、コンビニが365日・24時間営業することに対して、6割強の人が“必要ない”と答えている。ただし、10~20代に絞ると6割弱が“必要”との結果も。

コンビニ、とりわけ、最大手の「セブン-イレブン」は、この問題にさぞや神経を尖らせていることだろう。対応を誤ると、企業イメージを著しく損なう恐れがある。昨年は、「セブンペイ」の大失敗、本部社員のおでん無断発注問題、アルバイトへの長期間に渡る残業代未払い問題と、散々な年だったうえに、オーナーたちの叛乱で、小売業界の一大帝国は大きく揺らいでいる。今回の東大阪市の件で強硬手段に出たのは、過激化するオーナーたちへの見せしめのように見え、セブン本部も結構焦っているな~という印象を受けた。

GS業界はどうかと言えば、コンビニのような厳格なフランチャイズ契約はなく、営業時間については特約店・販売店の自由裁量が許されているが、自主的に年中無休で営業する店が少なくない。大昔には、省エネ対策として、GSを日曜日に強制的に休業させる法律の制定が試みられたやに聞いているが、いまこそ、コンビニ業界にそのような類の規制を設けるべきだとの声もある。日曜日を輪番制とすることでコンビニ、とりわけフランチャイズ店の負担を軽減させてはどうか─。

一見、良さそうな考えにも思えるが、お上が規制しなくちゃならんような問題か?とも思う。GS業界は、休日営業の問題だけでなく、建設許可の問題や仕入ルートの問題など、とやかく行政指導を受けてきた歴史がある。1998年にセルフ給油が認可されたが、今度は消防法の様々な規制が付加され、ほとんど緩和されないまま今日に至っている。無論、必要な規制もあるが、営業時間や運営方法をお上に委ねるのは、その業界のダイナミズムを奪うことになりかねない。

今回の問題は、GS業界に置き換えれば、元売所有の店舗を委託運営させていた業者が、契約に従わず、元売とモメているような感じ。これがオーナーが所有の店舗であれば“俺のやりたいようにやる。気に食わなきゃマークでも何でも持って行け”と言えるのだが、店舗を借してもらって商売している以上、元売の言う事を聞かざるを得ないよな~、というのが大方の反応だろう。逆に、本部が契約条項に、「定休日を設けるように」とか「深夜営業をしないように」と記してきたら“冗談じゃない、営業させろ”と反発するオーナーが出てくることだろう。いっそのこと、加盟店の好きなようにやらせて、ロイヤリティだけ頂くようにすれば楽でいいんじゃないかとも思える。みなさんはどうお考えですか?

「元旦ぐらい休ませてくれ!」というコンビニ店主たちの悲痛な訴えに同情しつつも、大晦日や元旦に特別な思い入れを持ち合わせていない私は、12月31日の夜を“第二の我が家”セルフスタンド日進東で店番をしながらのんびりと過ごしました…。(笑)

セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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