vol.800『希望を求めて』

先月、長年運営してきたホームページをリニューアルした。その際、これまでに800本近く投稿してきたこのコラムをどうしようかということになった。直近の十数本ほどを残して、あとは古いホームページに保管しておき、頃合を見計らって削除してしまおうかとも思ったが、WEB制作会社の方から“せっかくここまで書き溜めてきたのだから捨てるのはもったいない。それに、ウェブサイトは「文字数」が大切なんです。多ければ多いほど、「Google」などでの検索ヒット率が上がると思います。少々時間がかかっても、新しいサイトに乗せ換えたほうがいいですよ。”との助言を受け、ひとつずつ移してゆくことにした。「Wordpress」というソフトを使って作業するのだが、方法は至って簡単。暇を見ては、せっせと“新居”に運び込んでいる。
機械的に行えばとっくに完了しているのだろうが、過去の文章をコピペする際、ついつい読み直してしまうため、時間がかかってしまう。誤字・脱字の類が見つかれば修正するし、あまりにも拙劣な表現と思えば、やはり修正を施したりする。そんなこんなで、作業はなかなか捗らない。また、年代をさかのぼってゆくうちに“ああ、そういえばこんなことがあったな~”とか“このころは俺はこんなこと考えていたんだ…”などとひとり感慨に浸ったりしていると、さらに作業スピードは落ちてしまうという状況だ。

 

例えば、2011年3月11日に東日本を襲った大震災。3日後のコラムでは、『被災地の方々の辛苦は、想像を絶するものであろう。「心からお見舞い申し上げます」という言葉がこれほど虚しく感じることはない。また、その悲惨な情景に心を痛めながらも、茶の間で温かい食事を取っている自分にうしろめたさを感じたりもする』と綴っている。改めて、あの時に受けた衝撃がよみがえる。それにしても、自然災害のなんと多いことか。いまも、九州地方の各県で、集中豪雨による被害が刻々と報じられている。
そして、今年に入り全世界がかつてない災厄に見舞われている。2009年5月に、新型インフルエンザが大流行していたころ、こう投稿した。『いきなりドアを開けられ、鼻先で「いらっしゃいませー、満タンですかぁ?」なんて声をかけられた拍子に飛沫感染なぞしようものならたまったものではない。あるいは、セールスルームに入ってきた客に呼びつけられ、「ちょっと空気圧みてもらえる?ゴホゴホ…」とやられたらコワイ。「人を見たらウイルスと思え」状態となった世の中では“心の通う接客”なんて、したくも、してもらいたくもない』─。

 

当時、大げさに騒ぎ過ぎたかとも思ったが、11年の時を経たいまの世の中では、むしろスタンダードな考えになってしまっている。日本では昨日(5日)、 新たに207人のコロナ感染が確認され、3日連続で200人越えとなった。患部がしっかり癒えていないうちに、かゆみに耐え切れずかさぶたを剥がしてしまい、再び出血が始まった、という感じか。これはいわゆる“第二波”ではなく、まだ第一波の継続状態なのだという意見もある。特に東京都では4日続けて100人越えとなっており、都知事選を終えた今週から、「緊急事態宣言」再発令のタイミングが計られていると報じられている。
一年前、いや半年前に、このような事態をだれが想像し得ただろうか。そして、この先、GS業界が、日本が、世界がどうなってゆくかをだれが言い当てることができるというのか。800回、足掛け16年間、愛知県の田舎町でセルフスタンドを営みながら、世の中の出来事を見聞きしつつ下手なコラムを書き続けてきていま思うことは、「将来は予測不能で、日を追って困難になってゆく」ということ。この先も、私たちは次から次へと試練に見舞われ、嘆息し、呻きながら生きてゆくことになるだろう。コロナ禍のただ中にあり、視界不良となっているいまの世にあって、希望を見出すことができるだろうか─。少々重たい文章になってしまったが、引き続き、希望の光を求めて、情報発信してゆきたい。どうぞよろしく。

 

 セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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