vol.835『ジェネリック』

『ジェネリック医薬品製造大手の日医工(富山市)が製品の自主回収を繰り返した問題で、富山第一工場(滑川市)で遅くとも2009年から不適正な製造・品質管理が行われていたことが3日、同社の調査報告書などで分かった。富山県は同日、医薬品医療機器法違反があったとして、同工場の製造業務を5日から32日間の停止、同社の医薬品製造販売業務を24日間の停止とした』─3月4日付「北國新聞」。

ジェネリック医薬品とは、新薬の特許期間などが過ぎた後に他のメーカーから同じ有効成分で、効き目、品質、安全性が新薬と同等であることを条件に、国から承認されている薬のことで、価格が安い。医療費負担の軽減を目指す厚労省は、ジェネリック医薬品の使用割合を2020年9月までに80㌫にするという目標を立てたが、まだ78.3㌫にとどまっている。

先発薬指向の強い一部の医師や医療関係者のあいだで敬遠されているとのことだが、今回のような不祥事が明らかになると“安かろう 悪かろう”ということになってしまう。日医工では、品質試験で不適合となり本来なら廃棄すべき錠剤を砕いて作り直すなどの悪質な行為が常態化していたとのことで、 会社は「製品を廃棄すると市場に欠品が生じる恐れがあるため、現場にはそれを避ける空気があった」などと釈明しているとのこと。事は私たちの健康に直結する問題なだけに、原因究明・再発防止の徹底が望まれる。

GS業界関係者であれば、「ジェネリック」と聞いて「業転玉」を連想する人は少なくないだろう。いまだに業転ガソリンを粗悪品呼ばわりする人がいるようだが、本来はわざわざ製造するものではなくて、いわば“残り物”だ。石油元売が次々に統合され、寡占化が進めば業転玉は絶滅するなんてずいぶん前から喧伝されていたが、需給ギャップはいまだ解消されず、おかげで業転玉はいまも全国にあまねく流通している。現在は、いわゆる系列玉と比べて3~5円程度価格差があるようだ。

しかし、中には悪質な業者もいて、業転玉のイメージを貶めているのも事実。例えば、品確法では、タンクローリー内の残油などを想定して、ガソリンに4体積㌫までの灯油の混入が認められているのだが、これを悪用してわざと灯油を混入する業者が摘発されることがたまにある。薄利多売の中で少しでも利益を上げようとするあまり、不正行為に手を染めるあさましさ。本当に嘆かわしい。

業転玉はいまも「安定供給」されてはいるが、以前のように、系列店のマークを掲げながら業転玉を仕入れることは難しくなっているようだ。まあ、それが道理というものだろう。「エネオス」のマークを掲げながら、ノンブランドの製品を販売するのはやはり商道徳上よろしくない。もっとも、元売間では製品のバーターが常態化しており、実際には“ブランド”なんてものは、この業界では有名無実化しているのだが。いずれにせよ、系列の傘の下で商売している以上、それに従うのが筋であろう。

その代わり、元売のさじ加減次第では、業転玉のハイオク価格と見間違うような馬鹿高いレギュラーガソリンを仕入れさせられる店もあったりして“もうたまらん”ということになり、生き残るためにやむなくPBスタンドになったという例は少なくない。いわば、「ジェネリックガソリン」の取扱店になったわけだ。

ちなみに「generic」という単語は「一般的な」という意味。PBスタンドは、(1)原価をその都度把握して仕入れ、(2)事後調整など当てにせずに自己責任で販売する、というごく普通で「一般的な」販売手法を取ってきただけなのだが、なぜか業界では“異端者”扱いされている。医薬品のジェネリックも、米国などでは大手製薬会社や、彼らから多額のキックバックを受け取っていた病院や薬局から違法薬物扱いされた時期があった。「一般的な」ことをするのは、どんな業界でも大変なことのようだ。ちなみに、私は処方薬はすべてジェネリック、仕入れる製品はすべて業転玉であります。

セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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