『コカ・コーラボトラーズジャパンは8日、「コカ・コーラ」などの大型ペットボトル商品 (1.5~2㍑)の希望小売価格を、4月1日出荷分から20円値上げすると発表した。物流費や原材料費の上昇が理由で、1.5㍑ペットボトルの「コカ・コーラ」は税抜き320円から340円に値上げされる。対象は30~40商品で、消費税率引き上げに伴う値上げを除くと、1992年以来27年ぶりの値上げとなる』─1月8日付「朝日新聞」。
清涼飲料の販売数量の半分近くは500㍉㍑入りの商品らしいので、コカコーラは主力商品では値上げを避けたことになる。なぜ、大型品に限定したのか。「日経ビジネス」によると『清涼飲料市場でシェア1位はコカだが、同2位のサントリー食品が「南アルプスの天然水」や「クラフトボス」のヒットで猛追している。対するコカは「ジョージア」や「森の水だより」などが苦戦している。こうした中で値上げをすれば、シェア争いで不利になりかねない。かといってコカにとって価格を据え置くことも難しい。物流費や原材料の高騰だけでなく、西日本の集中豪雨で工場が被災したことを受けて、業績が悪化しているからだ』─。
清涼飲料水業界は価格競争が厳しく、業界トップのコカコーラが限定的とはいえ値上げに踏み切れば、業界のデフレに歯止めがかかる可能性があり、市場関係者は歓迎している。しかし、この効果の成否の鍵を握っているのは、下位メーカーが値上げに追従するかどうか。特にコカコーラを猛追するサントリーがどうするかにかかっているとのこと。サントリーが収益圧迫を覚悟でシェア拡大を目指せば、コカコーラは窮地に追い込まれる。10月には消費増税が控えており、価格転嫁をめぐる駆け引きが始まっている。
まあ、どこの業界も足並みが揃わないと値上げはうまくいかないようですな。それにしても、27年ものあいだ値上げしていなかったんですね、「コカコーラ」って。何せ日本人一人当たり年間170本(240㍉㍑の瓶コーラ換算)程度飲むと言われている、清涼飲料水の王様。1.5㍉㍑のコーラを20円値上げしただけで“コーラ離れ”が進むとは思えないが、業界最大手ゆえの責任が、恐る恐るの価格改定を行なわせるのだろうか。ちなみに、「コカコーラ」は200ヶ国以上で販売されているが、日本が一番高いらしい。
GS業界は、一年中、価格を上げたり下げたりで、ひと月同じ価格で売るなんてことは滅多にないのだが、年末年始を挟んでこの一ヶ月ぐらいは、比較的価格が安定していたように思う。しかも、原油価格の下落でリッターマージンも10~15円ぐらいで推移して、減販が進む中、改めてマージンを確保することの意義を感じることになった。“この体験を無駄にせず、さらに20円、30円目指してガンバロー”と言う人もいるかもしれないが、それは無理というもの。すでにこの連休中に各所で値崩れが始まり、安いところでは、1㍑あたりコカコーラの半値ほどになっている。
清涼飲料水業界は、前述のとおり、業界2位のサントリーが追従するかどうかに関心が集まっているが、サントリーの新浪剛史社長は今回のコカコーラの決断を「敵ながらあっぱれ。尊敬に値する」と評価しているとのこと。「コカコーラ」と世界シェアを争う「ペプシコーラ」の日本販売権は1997年にサントリーが取得し、一時期熾烈な販売合戦が繰り広げられたが、今回は手を取り合って利益確保の道を歩むことになるのだろうか。石油業界も、今年4月にいよいよ二大元売時代を迎えるが、果たして市況安定化へと向かうか否か。
ところで、世界で最もコカコーラを飲む国はどこかと調べてみたら、メキシコ。一人当たり年間487本!何でも、メキシコ製のコカコーラは、サトウキビからとった自然の砂糖が使用されており、米国や日本のものより後味がスッキリして美味しいんだとか。そのメキシコでは、いまガソリン不足が深刻化しているとのこと。ガソリンスタンドに長蛇の列ができ、市民はコーラの瓶やペットボトルにも給油して買いだめに走っているらしい。
セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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