COCと独立経営<681>10月減販と価格心理(仮説) – 関 匤

カーショップ・オートバックスの10月実績が出ています。消費増税の影響がまともに表れた内容です。SSの油外収益も同様と想像します。

既存店売上高は▲16%、カー用品物販は▲15%でバックス得意のタイヤは▲34%の大幅減です。年々拡大して年間63万台、1店舗1,000台の車検は▲15%、車検と連動する車販は▲29%などなど総崩れです。

一方、9月は既存店売上高が41%増、8月は11%増と大きな仮需が発生していたことが分かります。9月のタイヤは98%増です。車載カメラ主体と思うのですがカーエレクトロニクスが70%増ととてつもない数字になっています。恐らく増税前の呼び込みを強化していたのでしょう。

政府は、キャッシュレス還元や軽減税率など早くから増税対策をアピールしていましたが、政策効果は「2%の壁」に跳ね返された感じです。政府・官僚には消費者心理の機微が理解できないのでしょう。

増税前にドラッグストアでトイレットペーパーを大量買いする姿がテレビで放映されていました。私自身「これはないやろ」と思っていましたが、2%に反応する消費者心理の本質かも知れません。

そう考えると、ガソリンの1円、2円の違いにも同じことが言えます。昔は業界ルールで掲示がご法度だった価格看板ですが、自由化以降セルフSSの登場で掲示が当たり前になると価格に対する感応度が強くなっています。古いデータですが、石油連盟のアンケートでセルフSS利用の動機として2005年に「価格の安さ」をあげる人は19%でしたが、10年後の15年には61%と明らかに価格がSS選択理由となっています。

私の大胆すぎる仮説ですが、IT社会が普及するほど価格の消費者心理が細かくなっているのではないでしょう。

一つはサブスクリプションの広がりです。定額払いです。スマホが介在するカーシェアリングはサブスクの典型です。月額880円の会費分で一時間、以降は15分220円ずつの課金となります。

気が付いたら、私もアドビ編集ソフト、アマゾンプライム、複数の有料情報サイトで月額課金されています。油業報知新聞も電子版がありますから、カード登録を始めればサブスクモデルとなります。

もう一つ、価格心理に影響していると思うのはポイント販促です。これは形を変えた「価格維持策」という姑息な一面を感じますが、消費者心理がポイントというオマケに動くのでしょう。同様にQRなどコード決済はキャッシュバックの現ナマを溜めることができます。1%とか0.5%とか小さいオマケですが、小さい数字に誘導されるのは私も実感します。

そして月額課金とポイントはリンクされています。12,000円では売れない商品・サービスが、1,000円の月額なら消費者に検討の余地が生まれます。そこに小さい比率でもポイントが加算される。そういう消費環境で当たり前のように生活しています。

ウォルマート創業者が言った「小さく考えている」のです。その裏返しとして、財務官僚にとって「たったの2%」かもしれませんが、消費者は「2%もの強奪」と受け取っているのでは、というのが私の仮説です。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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