石油連盟の統計が出ました。消費増税の10月は、ガソリンが前年比▲4.2%と減販でした。仮需もあったのでしょうが9月の増販分(4.2%)をほぼ帳消しにしました。
1―10月で見ると▲2.9%です。暦年で前年並みに戻すには、11月と12月で前年比114%売る必要があります。これは難しいでしょう。
それどころか1994年に突破してきた年間5000万㌔㍑を割り込むことが確実です。1―10月合計で前年比97%です。11、12月で▲2%以内に抑えなければ5000万㌔㍑から陥落します。暦年でガソリン販売ピークの2005年比で需要(市場)規模が4分の1も収縮することになります。
それでも最近、大手販売業者のSS出店が増えているように思えます。不採算店の廃止代替の側面もあるようですが、市場が安定しているうちに投資して「残存者利益」を取ろうとしているのでしょう。
ただし、新規出店できる人は限られます。PBは余波を食いますが、それ以上に系列内の共喰いを加速させるでしょう。大手3社体制になっていますから、同系列の商圏密度が高くなっていますから、新設店の爆弾は必ず同系列店に命中します。
「ガソリン需要飢餓状態」で、ただでさえ食糧が少ないところに大食いが出現するのですから、販売量貧富の差は拡大するばかりでしょう。
元売も当然、需要の行く末は理解しています。だから中長期計画で今後のSS像をイメージしています。
JXTGは「生活プラットフォームSS」として、ビジネス領域を燃料、整備、複合店舗、コインランドリー、カーシェア、EC商品受渡、EV給電、その他とします。
出光昭和シェルは「地域のお客様一人ひとりの暮らしと移動を支えるライフパートナー」として、燃料油、車検、洗車、中古車、カーリース、シェアリング、コネクテッドカー、超小型EV、コンビニ・ピザ等飲食店併設、パーク&チャージ(給電)、ランドリー・EC商品受渡併設、シニア事業などを掲げています。
似たようなものですが、羅列された事項を見ると、地域の中小企業が独自に立ち上げられるものは限られます。カーケアとランドリー程度でしょう。AI、IoTなど誰かと提携・連携しないと難しい課題です。
つまり、元売のSS像とは限りなく系列SSをFCに統制するものです。大企業だからできるシステム設計を前提としています。全石連が熱く主張している「サプライチェーン」とはこれであったかと膝を打った次第です。
その布石として、すでに石油連盟は無人給油実験を行っています。AIの画像解析システムを使って、給油時の行動分析の精度を上げようとしています。
SS過疎地対策の大義名分はありますが、本筋は主力部隊の無人化でしょう。欧州では数人で200SSを管理する会社もあるそうです。燃料油の世界で人(経営者)は介在せず、ビジネス領域はFC統制という時代が幕を開けようとしています。
ガソリン需要5000万㌔㍑台陥落はその動きを速めるかも知れません。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局