コロナ禍でトイレットペーパー不足騒動が起こっています。第1次オイルショック時の大争奪戦を令和の日本人は笑えません。
大繁盛の居酒屋さんがガラガラです。1時間ほど居ましたが、客は私を含めて2人でした。飲食店やテーマパークなど“ハレの気持ち”で行く場所に閑古鳥が鳴いて、コンビニやドラグストアなどライフライン系は通常通り、といった感があります。SSも私が知る範囲では客数が減っていません。
しかし、観光地SSは影響が出ていると想像されます。都市部SSも企業の在宅勤務で営業車の減少に直面しているかもしれません。花王で15000人、ホンダは都内だけで2000人が在宅勤務だそうです。企業活動が停滞している波及損失は計り知れません。
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本稿のテーマに戻ります。資源エネ庁が仕掛けた高度化法による元売再編の流れの中で、誰もが理解しているのが系列ネットワークの選択と集中です。製油所あるいは輸入基地の「供給根拠地」からの制空権内への選択と集中です。
私は労多くして何の見返りもないデータ作りに励むという、“SSデータフェチ”の傾向があります。
何年か前に、元売直営SSが好き放題にガソリン安売りや油外の滅茶滅茶売りをやった時期があって、この野郎と思いながら全社全SSをエクセルに入力しました。そして分かる限り、新設・廃止など改廃データを更新しています。
元売直営SSで思い切りメリハリのある動きが太陽石油です。数年前に120ほどのSSがありました。主力部隊は実質本社の菊間製油所圏内に集中していますが、愛知県以東にも約30カ所の直営SSがありました。現時点で東日本は2カ所です。関ヶ原以東商売しないのです。
元売直営SSが廃止すると同系列特約店に移譲する以外は、撤去されてSS以外の用途に転売されます。しかし、太陽石油はニーズがあれば他元売や他系列特約店に移譲しています。西日本へ選択と集中した同社だからこそ可能な「東日本撤退戦略」です。
元売が社有SSを他元売に移譲するなど考えられないことでしたが、欧米では30年以上前から当たり前にやっています。
昭和60年頃、石油専門紙の米国情報に「スワップ」という言葉がありました。無知な私は、いかがわしい妄想をしましたが、ようは石油会社間での「商圏の交換」です。
この前後から米国では、東西海岸、中西部でネットワークのスワップが活発化します。旧共同石油が提携したアルコ社は全米展開を捨ててカリフォルニアなど西海岸に特化しました。日本にも出店したコンビニam/pm業態で盛業を極めました。太陽石油直営SSの再編にこのことを思い出しました。
日本はシェア80%の再編2社が「オールジャパン唯我独尊」です。両社に圧迫されるがゆえに、逆に、残る3社(実質2社)には戦略の自由度が増します。稼動領域が制約される一方で、役所や全石連に忖度することなくメリハリの効く動きも可能です。局地戦への選択と集中です。
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平治の乱で滅び石橋合戦にも敗れた源氏は、富士川、倶利伽羅峠、一の谷、屋島と局地戦に勝ちながら驕る平氏を滅ぼしました。「その他3元売」が局地戦略を徹底するのか、大政翼賛会のウマに乗るのか。選択と集中に注目しています。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局