石油連盟の3月分統計が出ました。2019年度の燃料油国内販売量は▲3.6%、ガソリンは▲3%で遂に5000万㌔㍑から台割れしました。これを1―3月比で見ると、燃料油▲8%、ガソリン▲4.4%になります。コロナ禍のパニックに入った3月単月では燃料油▲10.8八%、ガソリン▲8.1%と下落幅が拡大します。航空業界の影響でジェット燃料油は20%以上の減販です。
非常事態宣言に入った4月はもっと大きな数字になるのは間違いありません。
ただ、世界的に自粛緩和ムードが強まる中で、原油価格が上がってきました。110㌦前後まで凹んだWTIですが、21日時点で34㌦台まで回復しています。米国では原油安の渦中にあっても、3月は1300万BDと通常の生産でしたが、先物でマイナス価格終値の4月はジワジワと減産して最終週に1210万BD、5月は第3週で1150万BDまで減産しています。
一方、4月第2週に1380万BDまで落ち込んだ製品供給は徐々に回復し、5月第3週で1160万BDまで戻しています。20日に全50州で経済活動が再開に入りましたから、6月中には通常の2000万BD供給に復帰するかもしれません。
減産と供給回復がWTIで上げの好材料になっています。
ということで、国内では2週連続の値上げ通告で仕切りレベルで9円ほど上がりました。市況が91円までぶっ飛んでいた北海道函館も安値が90円台後半まで戻しています。
米国では、円換算で年初73円が4月に48円まで漸落しましたが、5月入り後から値上がり基調となって第3週は52円まで回復しています。
冒頭に需給の数字を書きました。日米で大きく違うのは、米国の石油消費ですが、2月は前年比を超えていました。それをコロナで崩されましたが、経済再開で立ち直りも早いでしょう。一方、日本は構造的に市場が縮小しており、コロナが無くても前年実績を割っていたでしょう。前年12月までの暦年で燃料油、ガソリンとも▲3%前後落ちていましたから。
大阪、兵庫、京都で緊急事態宣言が解除されて、首都圏と北海道も今月末で動きとなっています。経済活動が再起動を始めています。
最近、「コロナ前・コロナ後」という言葉が聞かれます。長期間の外出自粛による行動パターンの変化がこれから消費行動にどういう影響を与えるのか、です。
3月から大部分のSSは「ガソリン給油所」になりました。客数は減少しても飲食に比べれば天国のようなもので、粗利益の総面積はコロナ以前をはるかに凌ぐSSが少なくありません。コロナ後もこの傾向は続くのでしょうか。
SSをどのようなビジネスモデルに革新すべきかといった話は、コロナに吹き飛ばされた感があります。しかし、石油メーカーである元売はともかく本来小売業であるはずの中小企業が「給油所業」でよいとは思えません。中小企業は経営者の人格が法人格です。
コモディティ=市況商品の給油所業に、経営者独自の才覚で自律的に利益戦略を構築する余地がありません。立地・設備のハード要因が競争優位性を左右するセルフが10000カ所を超えて、給油所業にはますます経営者の存在が小さくなっています。
コロナ後の消費者行動に、給油所業にとって都合の悪い変化が起こる可能性は無いでしょうか?なにしろ数カ月間、不要不急のクルマの利用を控えてきました。緊急事態解除そくコロナ以前に戻るのでしょうか。それともクルマがなくても生活に支障のないことが分かってしまってコロナ生活を維持するのか、あるいは保有すらやめるのか。給油所業は石油相場とクルマに左右される他力本願にあります。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局