COCと独立経営<931>消費者に説明しづらい10円補助 – 関 匤

5月22日からいわゆる「ガソリン1リットル10円補助金」が始まります。後述するようにかなり消費者への説明が難しい内容となっております。
役所の文書ですが、
「定額の引下げ幅については、すぐに使える基金を活用し速やかに実施することや、足元の物価高にも対応する観点を踏まえ、
・旧暫定税率が課されているガソリン・軽油については10円
・旧暫定税率が課されていない重油・灯油については5円、航空機燃料については4円とする。」
という概要です。
消費者への説明が難しいのは、国庫ではなく「基金」という限られた兵糧を使うために「段階的な対応」となっていることです。5月22日から1リットル10円下がるのではなく、週ごとに1円ずつ補助を増額して6週目に10円とするスキームです。

現実には、22日からの第1弾は前週比5円の仕切り補助となります。売価を前週比5円下げるかどうかはSSごとの考え方の違いによります。
何人かのCOCのPB経営者に聞くと、実に多様な値引きツールを持つ(姑息に下を潜る)系列店と違って、PBは原則一物一価なので22日から分かりやすく店頭5円下げるようです。

次週からは1円ずつ補助が増額されます。第2週は6円補助ですが、仮に原油コストが2円上がった場合は「8円補助」となります。第3週以降、7円、8円…と増額されますが、原油コストが前週比2円ずつ上がった場合は「9円」「10円」の実支給となりますが、「10円」が“シーリング”(天井)です。


とまあ、一発で理解しづらい仕組みなのですが、これを消費者に説明するのが難しいところです。
メディアの報じ方です。
●ガソリン価格1リットル10円引き下げ来月から段階的に(NHK)
●ガソリン価格10円引き下げ 専門家「夏には168円予想」(テレビ朝日)
●ガソリン価格、1日で「5円」値下げ…1カ月で「11円」下がっていた。新補助金導入で、5月22日以降さらに「10円」値下がりする?(TBS)
●ガソリン、物価高対策で10円下げ 電気・ガス補助は7~9月

消費者はニュースのヘッドラインだけで印象を頭に焼き付けます。上記のタイトル群は嘘を言ってはいないけれど、「いきなり10円下がる」という誤解を与えかねません(与えています)。

メディア的にも「10円下げ!」と言った方がより視聴者、読者にインパクトを与えられます。消費者は10円の印象だけ残って「段階的」は欠落しかねません。


実は少なからぬCOC会員のところに、地元メディアから取材依頼がきています。キー局からもきています。

実情を伝えたいのでメディア対応をするようですが、彼らは過去に「経営者が伝えたいことが報じられない」という経験をしています。見出しになるようなシンボリックな言葉だけを拾い上げる習性があります。「段階的でいきなり10円下がらない。詳しく知りたいなら霞が関へ行ってくれ」とメディア対応しているようです。

私も全国紙から取材を受けて2時間余り業界の説明をしました。私の話下手もありますがどうも理解しているように見えず、それよりも記者が自分のシナリオ通りに進めようとしていました。だから「私の名前は使わないで」と断りました。

「1リットル10円」が独り歩きしているように思える新補助制度。22日からの消費者の反応が気がかりです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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