ご存知かと思いますが、グーグル(google)がスマホの位置情報を基にしてコロナ禍における人の移動状況を調査しています。
サンプル数は不明ですが、世界131カ国ですから10億前後と以上と推測します。
マッピングでスマホを持って移動する人の位置と居場所を特定します。アンケート調査と違って行動実態を正確に反映します。
コロナパンデミック前の、1月3日から2月6日の移動量平均を「基準値」として、増減率を6つの場所別に算出しています。日本では都道府県別に出ています。
全国平均では、①小売・娯楽▲4%、②駅乗換え▲11%、③職場▲7%、と、コロナ以前に比べていずれも減ったままです。増えたのは④住宅2%(巣ごもり)、⑤食料品・薬局4%、⑥公園18%です。
残念ながらSSに関わる車の移動データはありませんが、経済に影響の強い①小売・娯楽、②駅乗換え、③職場の3カ所を選んで10月18日のデータで見ました。
観光県の沖縄県が非常に厳しく、小売・娯楽▲14%、②駅乗換え▲17%、③職場▲13%で①と③でワーストです。沖縄以下では、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知京都、大阪、兵庫、福岡など人口の多い県でいずれも大きく停滞しています。
鳥取県の±0を除いて、職場への移動はコロナ以前に戻っていません。一方、小売・娯楽13県(人口比14.7%)、駅乗換えで22道県(同25.2%)がプラスに転じています。ただし、人口比が低いために全体への影響力はありません。
プラスに転じた県に一つの共通項があります。秋田県、山形県、新潟県、富山県、福井県、鳥取県、島根県。いずれも日本海側です。この7県の累計コロナ感染者は合計しても1.2%にすぎません。感染者数の多い東名阪の人の移動回復はまだ遠いかなと思います。
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10月のガソリン販売は前年を超えたという話を聞きます。昨年が消費増税による減販があった裏返しではありますが、プラスになれば嬉しい話です。
先のグーグルのデータで交通手段の「駅乗換え」のコロナ前比が▲11%でした。都道府県ガソリン販売のコロナ後、2-8月の増減は▲14%です。東京が乗換え▲221%、ガソリン▲23%、神奈川▲15%に▲11%、愛知▲17%と▲12%と大都市圏ほど相関しています。(大阪は▲21%に▲12%と開きはありますが)
駅利用者の数と交通量に相関性があるとすれば、SS利用客の戻りもまだまだと考えられます。Gotoトラベルに期待したいところですが。
こういう実態を見るに、SSのマーケティングも考え直す必要があります。コロナで惨状となった飲食業界は、テイクアウトとウーバー利用を拡大しています。
彼らの中で”巣ごもり消費の特性”に気付いた人たちがいます。テイクアウトなら半額になるピザをわざわざウーバー宅配で定価より高く買う人が増えました。そして宅配は独身者利用主体でしたが、コロナ後は家族利用、3世代利用が増えています。
そこでファミリーパックなど荷姿の大きい商品を訴求して、コロナ前を大きく上回る売上げ・利益をあげる店舗も出現しています。巣ごもり需要を必死で掘り起こしています。
SSもセルフという「待ちの業態」では、移動環境の改善を待つしかありません。昭和時代のSS業界は”待ちの商売より攻めの商売”と、店長が商圏内を営業に歩いていたことを思い出しました。今春は、巣ごもりで灯油配送が活況を呈しました。巣ごもりへの「攻めの商品・サービス開発」は面白いテーマと思います。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局