COCと独立経営<730>“非ガソリン車”で踊る方々 – 関 匤

“エライ方々”が連日連夜の踊り三昧です。

真珠湾攻撃の8日、経産省、トヨタ、ENEOS、岩谷産業などが「水素30年に主要燃料踊り」を激しく舞えば、翌日に東京緑派家元の“ユリコ”が新作の「新車販売30年全て電動車踊り」をご披露です。お囃子はいつもの日経社中と電通社中です。抜群の安定感で三味に鐘太鼓をかき鳴らします。政治家連という阿波踊りの一派もやってきて…。

日本経済新聞はよほどネタがないのでしょうか。COCのセミナー情報でもリークしてあげましょうか?ためになりますよ。

彼らは分かってやっているのでしょう、連日トップ記事で囃し立てれば、“明日にでも日本の車はFCVとEVだけになる!”と世論に過剰反応を喚起できます。世の中が騒ぐほど、踊り手のご祝儀(予算と補助金)が増えていきますから。

COC会員が連絡してきました。「石商が大騒ぎだ。“ガソリンが無くなる!”と従業員が騒ぐので、心配した経営者の問い合わせが増えているそうです。罪深い“踊り”をやってくれるものです。

さて、“ユリコ踊り”の日経記事を読むと、「ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などの電動車に切り替える」とあります。EVの定義とは「全電動自動車」ではなくHV等も含まれています。

次世代自動車振興センターにEV登録台数があります。2019年時点で国内に「1095万台」が登録されています。これは乗用車の6台に1台がEVということになります。ホントですか?

しかし内訳を見ると、HVとPHVもEVとしてカウントしているのです。ガソリンを一切使用しない純粋なEVとFCVは127千台です。EV統計で「2.4%」です。乗用車全体で見れば「0.2%」です。もはや「ウルトラ変質者の割合」です。“EV踊り”の所作に振り回されないことです。HVというガソリン車含みですから。

私が気に入らないのは、非ガソリン車の話が原理原則論ではなく、主義や思想に忖度したポピュリズムが支配していることです。国連劇場で過激な新舞踊を披露したスウェーデンの少女におもねるような首脳ばかりに見えます。まあ2030年に彼らは首脳の立場にいないので、無責任に物言いできるのでしょう。

話は変わりますが、移動体の時系列です。

  • 1769年=英ワット蒸気機関確立
  • 同時期=石炭の利用開始
  • 1807年=米フルトンが蒸気船運航
  • 1825年=米スチーブンスンが蒸気機関車を開発
  • 1853年=米ドレーク石油機械掘り
  • 1885年=独ダイムラーがガソリン自動車の特許取得
  • 1908年=米フォードT型フォード発売で自動車の時代へ

-こう見ると、新技術が生まれて実用段階へ行くまでに相当のタイムラグがあります。実はEVの歴史はガソリン車より古いのです。ですが、いまだに「普及目標」をがなりたてるだけの状況です。

そもそも新産業は“既存のエライ方々”ではなく、辺境にいるアントレプレナーたちから生まれるものです。ユニクロやしまむらのように既存を創造的に破壊します。そこには条件があります。

ダイムラーの四半世紀後にフォードが自動車を一気に普及します。標準型の大量生産方式でコストを大幅に下げたのですが、もう1つ大きな要因がありました。灯油主体の石油産業で大量投棄されるほど余っていました。安くて高カロリーのエネルギーがガソリン車の爆発的普及の追い風となりました。蒸気船、蒸気機関車も安価な石炭があって経済性を持ちました。

純粋EVにそういう原理原則的な追い風の条件が整っているのでしょうか。トヨタが「全固体電池踊り」を舞い始めましたが、”高くてもゼロエミッション”という理屈はスウェーデンの少女に通じても、最大多数の最大幸福にはつながらないと思います。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局

 


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