SSの成熟市場を私なりに考えてみました。
① ガソリン給油量の減少
② 給油来店頻度の減少
③ 客数減少による従来型油外の頭打ち
簡単に書けばこういうことになるでしょう。
給油量はセルフ化とともに顕著になっています。フルサービス時代は1回給油で25ℓ前後あったと思いますが、現在はセルフSSで15ℓ位まで減少していると思われます。
給油来店頻度の減少は、おそらく高燃費車の増加によるものが大きいと考えます。
国交省のガソリン乗用車燃費調査によると、国内ガソリン需要がピークとなった2004年度が13.5kmに対して2020年度は24.1kmと飛躍的に燃費が向上しています(JC08モード換算)。
この間、燃費は1.8倍も上がっています。ガソリン需要は40数%減少することになりますが、コロナで異常減販した20年度の代わりに19年度で05年度と比較すると、ガソリン需要は20%減にとどまっています。これは乗用車登録台数が10%以上増えていることによる歩留まりが考えられます。
いずれにせよ、燃費が1.8倍ということは、月3回来店していた人が2回以下になったという意味を持ちます。
そしてオイル、タイヤ、バッテリー、洗車など従来型の油外アイテムは、給油時点での接客販売を基本としているので、来店客数の減少の影響を受けます。
もっとも、SS数が2005年度から半分近く減っているので、残存利益の客数を得てかつ熱心に取り組むSSは増えているかもしれませんが…。私は、給油と連動しない集客軸をいかに作るかが、次世代SS経営の大テーマと考えております。
需要の変化と客層は地域により温度差があります。
石連HPに総務省「主要都市における世帯あたりガソリン支出額」が掲載されています。県庁所在地別の1世帯ガソリン支出(年間)は、きわめてメリハリの利いた結果が出ています。下記がトップ3です。
① 前橋市 7万7410円
② 山口市 7万3088円
③ 宇都宮市 7万2621円
一方、次がボトム3です。
① 神戸市 1万8958円
② 東京都区部 1万8920円
③ 大阪市 1万1577円
47都市単純平均で5万494円です。トップとボトムの差は半端ではありません。ジャパネットタカタでも7万円を1万円台に値引くことはありません。
これってガソリン価格激変緩和策も地域別に考えないと、トップ3の消費者は可哀そうですね。それほど都道府県から市町村へと細かく商圏を砕くほどに消費者の姿も違った景色を見せます。
もう1つ、都道府県別で特徴が明確に出るデータがあります。乗用車台数に占める「軽乗用車比率」です。
□ 50%以上=沖縄、長崎、高知、和歌山
□ 45%以上=愛媛以下11県
□ 平均36.9%以上=新潟以下20県
□ ボトム2=東京17.3%、神奈川23.9%
トップ4では来店客の半数が非常に燃費の高い軽乗用車です。そして東京と神奈川は異常に低い数字となっています。
自動車こそSSの顧客であり様々な属性を持っています。比率の高い地域では軽乗車を意識したマーケティング活動も必要でしょう。言いたいことは「平均を信用しない」ことです。とりわけ、消費者のガソリン消費額も軽乗用車比率も異常に低い東京から発信される情報を安易に信用しないことが肝要です。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局