COCと独立経営<556> お手てつないで徒競走-関 匤

すでにご存じのように、資源エネルギー庁が「ガソリン適正取引慣行ガイドライン」を公表しました。系列取引の問題解消に向けてのガイドラインであり、元売と直接取引しないPBはガイドラインのらち外です。今後、元売ヒアリング、系列SSへのアンケートなどフォローアップを行う運びとなります。

系列取引の問題点と指摘されるのは、

①通告仕切り価格の建値化=実勢に適応しない価格になっている。

②仕切価格を構成する要素の説明不足。

③事後調整の不透明性=差別対価の恐れ。

④事後調整の期間の不透明性。

などです。ガイドラインは、元売の説明責任の徹底及び値引きに関する社内基準の明確化を求めています。合わせて資源エネ庁は、「仕切価格をより市況の実態に即したものとすることを可能とするための取組として、信頼性・透明性の高いスポット価格指標が構築されるための環境整備を引き続き行う。」としています。

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ガイドラインが順守されれば、元売系列SSの仕切価格はスポット指標に準拠して、明確に基準化されたブランド料と元売マージンを付加したものとなります。また、市況対応値引きや報奨金なども基準を説明した上で制度として運用されることになります。

厳格に順守されれば、取引契約はかなり厳しいものとなります。系列SSの業転購入などはご法度です。支払い義務も厳格運用されます。ガイドラインの実効性は、商取引が約定通り実行されることが大前提となります。永年取引きとか元売役員との属人関係などを考慮するのか否かも、基準化する必要があるでしょう。

二つ懸念があります。1つは、ガイドラインが「ガソリン」であることです。元売と特約店の間には、ガソリン以外に中間品、重油、LPG、潤滑油、アスファルト、化成品、カー用品まで元売関連会社も含めた多様な取引口座が存在します。石油の請求書に関連会社商品を一本化(代理請求)する元売もあります。

例えば、ガソリンガイドラインを順守しながら潤滑油やカー用品で「説明できない値引き」を入れる可能性はないのでしょうか。(私なら融通効かせますが)

もう1つの懸念です。ガイドラインの趣旨に「SSの約七割は1SS1ディーラーであるが、こうした小規模な事業者が特に厳しい状況に置かれている」と文言があります。系列の1SS店の多くはサブ店です。

果たして、元売はサブ店に対する説明責任があるのでしょうか。サブ店は特約店の商権であり、元売にとっては「一需要家」という関係です。元売がサブ店に説明することは、特約店を中抜きすることになります。

しかも、系列内格差はサブ店仕切り価格の不透明さが大きな要因です。もう1つ、特約店向けに「サブ卸ガイドライン」が必要になるはずです。(確実に揉めますが)なんだか、全員お手てつないで徒競走の感がぬぐえません。高くても安くても発注そく原価確定のPB経営者とつきあっているものですから。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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