前回、セルフの給油承認のことを書いたらいろんな人から情報が来ました。工業高校電子科の生徒なら、秋葉原で基盤を買って数千円で作れるそうです。私なら「水飲み鳥」の永久運動を利用しますが(やっていません)。人間は、規制が強いほど規制の抜け穴を探そうとするものです。
消防行政は自治体消防であり、SS業者が多くを占める危険物安全協会との関係もまた自治体による温度差が大きいようです。有力店には査察の事前日程が知らされる一方で、PBには抜き打ちで来るようなケースもあります。
COCの某PB経営者は、自由化時に系列離脱したところ、同業者から凄まじい悪宣伝を流されました。その時に、「PBだからこそ法令順守」を経営の中心軸に置いたそうです。セルフSSも監視要員を常置するのは当たり前で、「コンプライアンス」なんて小難しい言葉を掲げずとも中小企業として可能な限り順法主義を貫いています。
そしてPBとして自由化以降の市場を生き残り、一方、悪宣伝していた系列店の多くが姿を消しています。
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日本経済新聞報道ですが、「JXTG、ガソリン乱売を抑制 卸価格の基準見直し」だそうです。
仕切価格の原油指標価格を産油国積み込み時点のFOBから、日本到着時のCIFに変更とあります。到着までのタイムラグによる在庫評価変動を抑えたいということでしょうか。
これに精製費、物流費を乗せていく「コスト積み上げ方式」で仕切策定するようです。
記事中に「JXTGはガソリンなどを製油所から大型ローリーで運んで直接取引する特約店を絞り込み、流通を正確に把握することで横流しを抑制する。」とあります。これは特約店の業転扱いを抑制するということですが、気になるのは「特約店を絞り込み」です。
あくまで日経記者の表現ですが、特約店は完全持ち届けとうこと。そして大型ローリーということは、立地・敷地・設備の優れた大型SSへの絞り込みとも読めます。
以前も書きましたが、JXTGは販社組織を大幅に変えています。
エリア単位に収支判断して、直営ネットワークの絞り込みを行うことです。現実に、直営SSの特約店への移管あるいは閉鎖も始まっています。上記の記事は、この動きを一般特約店にも波及させるという読み方が出来ます。
元売の立場で見れば、どう考えても縮小が続く国内市場でガソリンの利益をあげるには精製の最適稼働と流通の回転率を近づけることになるでしょう。製油所直送圏でトレーラー自動配送が系列標準になると考えられます。記事にある絞り込みが行われる可能性があります。
系列強化はいいのですが、独占禁止法の順法精神は忘れないでいただきたいと思います。
「事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることです。事業者間の競争によって消費者の利益が確保されることになります。」(公正取引委員会HP・独禁法の目的要旨)
COC・中央石油販売事業協同組合事務局