こんな話は本稿に直接関係はないのですが、巷間話を聞いていて興味があってデータで確認しました。日本の広告宣伝の媒体別構成比の推移です。
広告代理店の電通が「日本の広告」という統計を毎年公表しています。広告の媒体がかなり細かく区分されて、年間広告収入と伸び率、構成比がまとめられています。
広告媒体として王道を歩んできたのが、①新聞、②テレビ、③ラジオ、④雑誌です。「マスコミ4媒体」と呼ばれます。
21世紀に入ってからのネットの台頭により、広告費がかなり蚕食されているという話を聞きます。それでも2010年~2012年までは、この4媒体が広告収入の5割近くを占有していました。
しかし、直近の2011年~2023年で見ると、30%台に低落しています。23年は32%です。片やネット広告ですが、2011年頃は13~14%でした。それがコロナ禍の辺りで急上昇して、2020年に36.6%で4媒体に並ぶや、以降は右上がりとなって、23年は45%と4媒体を圧倒し50%をうかがう勢いです。
もちろんネット広告には4媒体のネットコンテンツの収入も入ってはいます。私も日本経済新聞の宅配をやめてネットで読んでいる1人です。
しかし、紙の新聞、居間でのテレビ視聴が明らかに減少していることが、4媒体の広告チャネルとしての価値を後退させています。(油業報知新聞でこういうことを書くのもどうかと思いますが)
裏付けとなる統計が総務省から出ています。「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」です。
テレビやラジオの視聴、新聞や雑誌の購読、ネットの閲覧に使う時間をアンケートで調査しています。年代別に出ています。全世代で各媒体の平日利用時間の構成比を見ると、
① ネット 54.2%
② テレビ 37.7%
③ テレビ録画 4.6%
④ ラジオ 2.0%
⑤ 新聞 1.5%
新聞が想像以上にスルーされている現実があらわになっています。10代は0%、20~30代は0.5%と、アンケートとは言え惨憺たる結果です。
10~20代は80%をネット閲覧に時間を費やしています。これが60代になると、テレビが56.7%、テレビ録画6.9%とテレビが主要なメディアとなっています。新聞購読時間も3.5%と低いながら、世代で最も高い数字となっています。
4媒体は、若年層向けに番組や広告を投入しても響かず、ミドルから高齢者層で勝負するしかないけれど、その人口ボリュームは確実に減少しています。BS放送が健康食品やアンチエイジングの通販広告であふれ返っているのも「むべなるかな」の感です。
SS業界と何が関係あるのかと言われそうですが、実はあります。
あるカーケア量販SSで聞いたら、車検の入庫経路でネット経由がコロナ以前の10数%から現状はほぼ30%にまで上がっています。
中古車の車販も、グーネットのようなネット媒体に出品してから一気に台数が高まっているそうです。オートサーバーのような共有在庫の仕入れ売却もネット媒体です。
一方、SS業界の得意技であったチラシ折り込みは、新聞購読者数の激減と一蓮托生の状態です。先の電通統計で2010~12年に折り込みチラシは広告収入の9%でした。しかし直近3年間では4%を切り漸減しています。
こんな話は先刻ご承知と思いますが、これからの新規客(若年層)を誘因するには、従来型ツールと併用しながらネット告知強化が不可欠と言えます。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局