COCの組合本部に経産省から「団体協約制度」に関するアンケートが送られてきました。(帝国データバンクが業務委託)
中小企業庁による、賃上げが物価高騰に追い付いておらず、とりわけ雇用の7割を占める中小企業が原材料高騰分を売価に転嫁し切れていない取引環境を整備することが重要とします。
そのために事業組合が「中小企業等協同組合法等に基づく団体協約」を利用して、独占禁止法適用除外で大企業に対して団体で労務費の転嫁に係る価格交渉を行うこと、とあります。小規模事業者が事業組合の集団となって取引価格交渉をしましょう、というのがざっくりとした趣旨です。
COC会員の場合、大企業との法人取引が少なく売り先の大部分は個人消費者です。趣旨が仕入れではなく、売価をイメージしているようなので適当に回答しておきました。逆に石商は官公庁の共納があるので、すでに実績を作っているかもしれませんが。
近況報告はさておいて、古いデータがあります。石油業法が施行された1962年9月末現在の系列別SS数です。
総数は1万2713カ所。前年比3006カ所増と大きく伸びています。この数字は、2024年3月末のセルフSS数1万829カ所とほぼ符合します。
ちなみに今年3月末のSS総数は2万7414カ所ですが、この数字は1967年度とほぼ同数です。57年前の振り出しに戻ったことになります。
さて、1962年の数字で精製元売が14社ありますが、それ以外に「日本通運」「三井物産」「日商」(日商岩井から現・双日)もブランドとしてカウントされています。さらに「無印」(43カ所)も系列入りしています。
しかも元資料には「元売社別府県別固定スタンド数」とあります。データの出所は記載されていませんが、1955年には石油連盟が発足しているので恐らく石連まとめでしょう。無印も「元売社別」に分類されていたのですね。
1962年から62年後の現在、「元売別」は5社だけの統計となってしまいました。まさに隔世の感があります。
このデータで気が付いたのが「現在の英国」です。PRAという団体があります。「ガソリン小売業協会」(勝手に邦訳)です。全石連と似たような団体ですが、政治的なアピールもしますがマーケティング主流の組織です。
「英国全土のガソリンスタンドの65%を占める独立系ガソリン小売業、高速道路サービス事業者、スーパーマーケットを代表し、大規模から小規模まで全ての小売業者の声を代弁しています。独立系ガソリン小売業がますます厳しくなるビジネス環境において成長を続け、競争力を維持できるよう、情報、サービス、アドバイスを提供することで、会員が活動のあらゆる側面を発展できるよう支援することに尽力しています。」(グーグル翻訳)と嬉しいことを言ってくれます。
PRAは「系列別SS数」をまとめています。SS総数8300カ所の英国で「ブランド別」は25社もあります。ちなみに人口比で英国SS数は日本の半分です。
シェル、BP、エッソなどメジャー。テスコ、モリソンズなどハイパー系。サークルKやロンテックなどコンビニ系。生協、日本流のPBなどプレーヤーは多岐にわたります。
SS数は1000カ所超えのメジャーからわずか14カ所のリックスまでカウントされています。62年前の石連統計は、日通は29カ所、日商は8カ所まで「系列」としていました。PRAに近い考え方をしていたのでしょうか。
考えてみればブランドって、テレビ宣伝するナショナルブランド(NB)に対して、地域で認識されるブランドもあります。SSなら元売ブランドよりも「〇〇石油さん」で通っている例が少なくありません。
コンビニのカップ麺などPB商品は、日清、東洋水産などNBに負けていません。
商圏における影響力を考えれば、JA、広域展開する独立系も「ブランド」としてカウントした方が、本当の流通実態に近付くと考える次第です。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局