COCと独立経営<912>コストコ南アルプスの商圏は東京 – 関 匤

系列特約店の役員さん(COC会員に非ず)と話していたら、元売の給油アプリについて「すでにLINEで顧客接点を持っているのに元売がアプリに替えてほしいってナニ? 同じガソリン値引きだけれど、LINEは双方向性があるけれどアプリだと元売からの一方向。しかも顧客データも押さえられるだけ」とのこと。
熱心に取り組む特約店には「事後調整」が出ているそうです。そうか、給油アプリは水面下の仕切り調整ツールという実態が理解できました。


アプリやカード値引きなしの一物一価で安売りするのがコストコです。
安売りと言ってもコストコは出店地域ごとに価格が異なっています。書いている時点で、最低154円から最高値161円まであります。価格サイトのgogo.gsの安値ランキングでは、ベスト20位が151円から156円の分布です。
愛知、北海道、兵庫、岐阜、福岡とコストコ出店地域で出ています。コストコが出店したから安くなったのか分かりませんが、コストコの場合は公取が出張ってくる安値ではありません。
彼らの集客力の源泉はあくまで「倉庫店」にあります。自動車を利用した大量購買を前提に、荷姿を大型化しながらおいしい食品を安く売る業態です。そこに、ドラッグストアが店頭に必需品かつ消耗品のトイレットペーパーとティッシュペーパーを山積みするように、来店客に必需品を提供するのがコストコガスステーションという位置付けです。
今さら言うまでもなく自治体も働く人も“コストコウェルカム”であることです。全国一律の時給1500円は驚きですが、「管理職を除く正社員や、期間限定の季節従業員を採用している。優秀な人材を確保するため…グローバルスタンダード(国際基準)に準じ、日本の市場を調査して設定している」(コストコの談話、読売新聞)
「市況問題」というよりも、マーケティングとしてコストコの死角を考える方が健康的と思います。

そのコストコが来年4月に山梨県初のコストコ南アルプス倉庫店を出店します。
今年6月に総面積12万㎡の広大な敷地に3万㎡の体験型複合施設「fumotto(麓)南アルプス」がオープンしています。これとコラボの出店です。
fumotto南アルプスHPより。 来年4月に道の駅など体験型複合施設とコラボしてコストコが出現する
fumotto南アルプスHPより。
来年4月に道の駅など体験型複合施設とコラボしてコストコが出現する

fumotto南アルプスは「南アルプスの麓をもっと」をコンセプトに、地域の魅力を結集した複合施設という店舗です。ワインを豊富に品揃えする産直マルシェ、15店舗のレストラン飲食店、地場名産品や伝統工芸品などの店舗、アウトドアでは常設野外フードコートや、オフロード自転車&ラジコンコース、キャンプサイト、川魚つかみ取り&炭火焼などが整備されています。
ちなみにfumottoの敷地には、「南アルプス完熟農園」という観光型農場がありました。南アルプス市が全額出資しましたが、開業半年で経営破綻しています。兵庫県の実態と同じく、利権の力学で作った「箱もの」だったと推測されます。
現在のfumottoの運営会社は㈱ヒカレヤマナシです。高速パーキングエリア運営や外食小売りを行う民間企業の㈱アルプスが主体となって、協賛企業から資金を集めています。設立が2022年5月ということは、コストコの出店計画が明らかになったために完熟農園跡地の再開発を目論んだものと見られます。
中部横断自動車道「南アルプスIC直結」で、「新東名道新清水JCTから55分」「中央道八王子JCTから70分」「長野道松本ICから60分」でアクセスします。
コストコのオープンが4月ですから、ゴールデンウイークに高速アクセスを利用して東京、神奈川、静岡、長野あるいは愛知からも「コストコ会員兼行楽客」が押し寄せる可能性があります。
先日某COC会員が「東京にコストコはないけれど、埼玉や千葉で給油しているコストコ会員は少ないだろうね」と言いましたが、その通りでしょう。私の知人の都内山の手奥さんがそういう消費行動ですから。
石油村目線ではなく顧客目線でコストコを見れば、幾らでも死角があると思います。同じ商圏で地域の生活スーパーや魚屋さん、八百屋さんが成立していますから。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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