某地方都市でコンビニ跡地に、系列大手店がSS出店するそうです。コンビニ単独店の中途半端な敷地では、洗車動線設計もままならず燃料特化型でしょう。
仄聞するに、統合する元売が販売実績をかさ上げしようと躍起で、当該系列店に号令が下りているようです。
さて、日本経済新聞に、「SS過疎地」の村が主導して社団法人運営でSSを再オープンするとありました。トマムでは豪雪や台風時に道路が寸断されて交通復旧まで燃料や日用品調達に苦労したそうです。しかし廃業SSの後継企業が現れず、占冠村が支援して危険物資格者の村民がSS運営の社団法人を設立。廃止SSを買い取って再開するものです。
参考にしたのは、愛知県豊根村が廃業SSを買い取って観光協会が運営する事例だそうです。資源エネルギー庁の「SS過疎地対策ハンドブック」の事例を見ると、自治体の後押しで住民の共同出資会社、観光協会が過疎地SSの主体になるものが目立ちます。
ハンドブックの過疎地マップで「SS1カ所の市町村」が一番多いのが長野県の10カ所です。私独自の確認ですが、内訳は①JA5SS、②石油販売業者3SS、③観光協会・社団法人2SSです。SS過疎地の大部分が農業を主産業とする地域ですからJAの役割は重要です。
そしてもう一つの主役が自治体および地域住民です。
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愛知県豊根村では、2002年に観光協会がSSを再開して現在も維持されています。「一般社団法人とみやまの里」が運営主体です。豊根村富山地区の振興を目的に設立されています。
事業内容として、①山村自然体験、②宿泊保養に関する事業、③地域施設の管理運営、④特産品開発、加工、生産および販売、⑤日常生活用品、食料品、⑥高齢者の健康、福祉の増進を図る事業、⑦温泉施設経営、⑧農林産物生産および販売、⑨飲食店経営、⑩バス等の運転…等々があります。
SSはさまざまな事業を形成する中の「一つのパーツ」という位置づけです。
私はSS過疎化対策を声高に論じる立場にありません。何を言いたいかというと、地域法人の「過疎地モデル」がSS業態革新のあるべきモデルに見えてくるのです。地域ニーズを集積して1カ所でまかなえる便利な場所(ワンストップショッピング)です。さらに上記の富山地区ではそこでしか味わえない・経験できないコンテンツを持ちます。
過疎地モデルは、補助金の存在が不可欠といえますが、そもそもの原点は地域住民が不便・不満足を自覚したことにあります。補助金狙いのコンサルが仕掛ける“箱もの地域再生”とは一線を画します。
小売業に対する「不便」、「不満足」は過疎地でなくとも存在します。カーケア一つとっても、SSはじめ多様な業態がありますが、その数だけ不便・不満が消費者に存在しています。成熟市場と言われますが、消費者=住民サイドに立った商品・サービスは確実に支持されます。
不便・不満に真摯に向き合う過疎地モデルに対して、冒頭のガソリンの数字欲しさだけの元売と系列店には“さもしさ”しか見えてこないのです。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局