2024年10月の拙稿で「メーターセールス復活を」と書いております。メーターセールス(以下MS)に関して、桃山学院大学・小嶌正稔教授はこう書いています。
「1965年からガソリンの乱売合戦による不良ガソリン問題への対抗策の必要性から、品質問題の決め手としてガソリンにメーターセールス制度が登場したが、このメーターセールスの導入時期を捉え、元売各社は、灯油の品質確保と販売経路の短縮および輸送・保管の効率化を目指し、販売拠点の強化育成を開始している(参考:日本石油)」
MS制とは、SSや販売拠点の地下在庫を元売在庫とします。SSはノズルから販売した量だけ元売に代金を支払います。昔の富山の家庭常備薬やコンビニの書籍と同じで、売れた分だけ課金される仕組みです。
石油業界ではMSが当たり前でしたが、確か1980年10月から廃止されて特約店が在庫を買い取ったと記憶しています。
第2次石油危機と規制でガチガチになって元売が思うように販売戦略を進められず、原油高騰の中で特約店に在庫買い取りをお願いしたと記憶しています(間違っていたら済みません)。
時代が変わって、私は現在の元売系列SSはMS制を再導入すべきと考えています。なぜ全石連が“運動”しないのか不思議なほどです。1980年とはシステム環境が異次元になっています。
元売は「DX」と訳の分からない言葉を連呼していますが、物流管理には簡単に導入できるはずです。自動配送が行われているほどですから。POSを通じてSS在庫は把握できるし、GPSでローリー運航管理の最適化も図れます。製油所から油槽所を通じてSSまでサプライチェーンを管理できる仕組みができています。
系列SSにとっても大きなメリットがあります。
① 在庫評価損益に左右されない
② 売った分だけの支払いで資金繰りが楽
今時の系列店で、マークの揚がったSSに業転をぶち込むような腹の据わった経営者はいませんね。ガッチリ系列管理されているなら、在庫を元売に持って貰えば良いのです。
私は中小企業にとって、SSは余りにも固定費が高過ぎると考えています。在庫変動をもろに被るよりも、そのリスクを元売に取ってもらえば良いのです。
資金に余裕のある会社なら、キャッシュオンデリバリーあるいは超早払いで元売にデポジットを積んで、仕切り価格の値引きや金利収入を得ても良いでしょう。
全石連も「サプライチェーン」「最後の砦」とか言っていますが、MSこそ最高のサプライチェーンであり最後の砦となるでしょう。そもそもサプライチェーンとは生産から消費者接点までの供給を万全にする考え方です。”最後の砦”のSS経営者がお金を惜しんで在庫調整するよりも、地下を元売が担保すればチェーンの強靭性は強固となります。
自動配送で常に満タン状態ですから。
また、「満タン運動」と消費者に負担を強いるシュプレヒコールを連呼しますが、車の40ℓ、50ℓの満タンよりも地下タンクが常に充足されている状態こそ本当の危機管理ではないでしょうか。
「SS過疎地」も同様です。廃業したSSをMSでやれば運営は楽ですね。
この先、国内石油需要は下げ基調で動くと資源エネルギー庁も厳しい予測をしています。系列店が業転を突っ込んだところで仕切り価格を多少薄めるに過ぎず、逆に元売との取引関係を悪化させるだけです。
高額な石油自己負担を減免することで、中小企業の限られたヒト・モノ・カネをもっと有為な事業軸確立に役立てられると思います。
全石連がなぜMS制度復活を望まないのか、不可思議です。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局