vol.676『シャンシャン』

上野動物園のパンダの赤ちゃんの名前は32万件の応募の中から『シャンシャン』に決まった。ふ~ん、何だか株主総会みたいだな~。国語辞典で調べると、「(比喩的に)物事が円満に収まること。問題を棚上げにしたまま、見た目には円満に収めることを揶揄していう」とあった。“和を以て貴しとなす”とは日本人の美徳の一つではあるが、それゆえに独創性が発揮しにくくなる恐れもある。古代ユダヤ人社会においては、全会一致となった評決は否決となったという。全員が賛成するということは、必ず何らかの見落としがあるはずだというユダヤ人の知恵の所産らしい。

パンダの名前から大脱線してしまったが、要は「シャンシャン」という響きは、大人の世界においては決して心地よい響きではないなということ。GS業界も、これまで系列内格差や規制緩和、二重課税などの問題を棚上げして、シャンシャンならぬ『ジャンジャン』販売することばかり追い求めてきた結果、大減販時代の到来したいま、成す術なく衰退しているように思える。元売幹部の方々は、キックオフ・ミーティングなどで、相変わらず「特約店の皆様と『ウィンウィン』の関係を構築してまいります」なんて『シャアシャア』と言っているけれど、パンダのように特約店を優しく抱っこして世話してはくれないだろう。

JXTGの誕生以降、元売のグリップが効いてきたのか、業転価格はジリジリと上がっている。しかし、いまだ110円台での価格競争が全国のあちらこちらで…。博多弁では、てきぱきするよう促す時「もっとしゃんしゃんせんね!」と言うらしい。阿波弁や讃岐弁でも、「さっさと」という意味で使われるそうだが、車社会の“オール電化”が進んでいるいま、無益な競争をやめて、業界全体が次代への備えを「しゃんしゃん」と行なってゆく必要がある。パンダは乱獲や環境破壊によって絶滅の危機に瀕したが、日本のGSは“共食い”で数が減っている。このまま行くと、元売によって“人工飼育”された100㌫子会社だけになってしまうかもしれない。そうならないように、GS経営者ひとりひとりが「しゃん」としなければならないのだが…。

9月25日14時から、小池都知事が直々にパンダの名前を発表するとのことだったが、その前にNHKのお昼のニュースがこれを報じ、会見が始まると、パンダに便乗しての、新党立ち上げと自らの代表就任の発表の場となった。何となく、田中角栄元首相の「俺は人寄せパンダ」というフレーズを思い出した。

新党の名前は「希望の党」で、今回の衆院選の“台風の目”になることは確実のようだが、多くの人々は政治家の言動にすっかり「失望」してしまっている。“だれが首相になったって世の中良くなることなんかないよ”というあきらめムードが蔓延している。環境、治安、災害、景気、雇用、教育、介護…問題が山積しており、あすはどうなってしまうのだろうという不安でいっぱいだ。人生において「シャンシャン」と行くことなどほとんどないので、せめて、愛くるしいパンダの赤ちゃんの映像でも見て、束の間の平安を味わいたいという心情であろう。

ところで、日本の動物園にいるジャイアントパンダは、すべて中国からの借り物。寄贈されたものだと思っている人、結構いるんじゃないだろうか。「ナショナルジオグラフィック」誌によるとレンタル料は雄雌セットで年間約100万㌦(約1億2千万円)。子供が生まれると1頭につき60万ドル追加費用が発生するらしい。無論、それらは国民の税金で賄われている。そういう話を聞くと、手放しで“カワイイ~”と喜べないかもしれないが、パンダに罪はない。日中関係のことなど気にせずスクスク育ってほしい。

「シャンシャン」は漢字表記で「香香」。何だか中華料理店の名前みたいだな~。「食べログ」で検索すると、やはり「香香」というお店が幾つもあった。そして、無性に炒飯が食いたくなった。

セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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