COCと独立経営<588>ガソリン価格とシェアリング – 関 匤

前回の続きです。カーシェアリングは自動車アフターマーケット市場初の双方向型ビジネスモデルと書きました。トップのパーク24は、会員とさまざまな双方向コミュニケーションを展開していますが、その中に定期的に実施するSSとガソリン価格の調査があります。

シェアリングを利用する免許保有者7000人以上の回答者ですから、かなり確度の高い有効な調査と考えられます。

4月の調査ですが、利用するSSのタイプとしてはセルフが72%です。そしてSSを選ぶ基準のトップが「価格」で75%、次が「場所」で61%。3番目以下の回答項目は20%以下に下がってしまいます。ちなみに「ブランドで選択」は4番目で20%でした。

価格と場所(立地)というのは、セルフSSの特性をよく反映していると思います。

シェアリング利用者は、若年層から40歳前後のアクティブ世代が多いので、今後ガソリン市場は立地・設備・価格で優位なSSの主導権がますます強まると思います。

9月には「ガソリン価格の意識調査」を実施しています。

このうち「ガソリンの価格によって車の乗り方を変えるか」という設問に、32%が「変える」と回答しています。ドライブ回数を減らすということです。注目すべきは前年調査との比較です。今年は9.9増加しています。実際に運転している人たちですから、今年は高値感を持つ人が増えたということです。実情を反映しています。

また「幾らの価格で高値感を感じるか」に対して、40%強が「130円台」、25%が「120円台」です。すでに65%の士気が高値領域に入っています。

高値による減販も覚悟しなければなりません。そして、高値推移が続けばシェアリング利用者にますます拍車がかかりそうです。ウェブで自動車維持費用を算出するサイトをよく見かけます。「サラリーマンは95%の維持費を空気に払っている」とまで書かれています。

世の中はEV(電気自動車)で騒いでいますが、バッテリー技術に革新的な発展がないかぎり、しばらくはスローガンだけでしょう。

むしろ、シェアリングのように乗用車の利用スタイルの変化、多様化によって、内燃機関が維持されながらガソリン需要が減少するという流れが顕在化しています。

ある東京の企業が、都内の渋滞ロスを嫌って営業マンが外郭エリアに電車で向かい、その先はシェアリングを利用したら、営業効率が格段に上がったそうです。

地方都市でも幹線駅で法人のシェアリングが増えています。

宇都宮駅では首都圏在住の利用者が多いそうです。出張で郊外の工業団地を商談で回るのに、シェアリングを使った方がタクシーよりはるかに安く、多くの訪問先を回れるからです。シェアリングは、タクシーやバスにも影響を与えていると想像されます。

長々とシェアリングを書いたのは、車の利用者像を考え直す必要があることです。

昔、オイルショックの渦中でもケンとメリーのスカイラインは売れましたが、今は持たずに賢い利用方法が次々と開発されます。そして着実に石油需要を侵食しています。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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