先日、COCでビジネス研究会を開催しました。テーマは「キャッシュレス時代」です。クレジットやICカードなど非現金決済です。
お呼びした若手ジャーナリストのお話が実に面白く、生活視点に立った日本と世界のキャッシュレス動向は実に参考になりました。手前味噌ですが有意義な研修会になったと思います。
キャッシュレスのタイトルに名を借りて、その本音は独立系のシステム対応力強化にありました。
大企業の元売が構築するシステム力は圧倒的で、地場中小企業にすぎないPBが到底真似のできるものではありません。また同じPOSを買っても、元売のボリュームディスカウント力は圧倒的で、PBは高い値段で買うしかありません。
また、クレジット手数料も元売カードなら1%以下、一般提携でも1.5%ですが、PBは3%と負担がのしかかります。現在はガソリン価格が上がっており、手数料だけで粗利が4円も削がれてしまいます。
そういう話以前にクレジット対応していないSSも少なからず見られますので、とにかくカードインフラを持とうと啓もうしました。クレジットはキャッシュレスの基本インフラですから。
手数料が気になるのはコモディティのガソリンにこだわりすぎるからです。非常に難しいテーマですが、独立系らしい独自の収益業態確立が同時並行のテーマです。
3%の手数料は元売やコンビニには及びませんが、実は百貨店並みの低さです。飲食業では4~7%、風俗店では10%です。免許証で本人確認がしっかりしていることがSS手数料の低さの要因です。高い手数料の飲食がそれでもカード対応するのは、付加価値の高い業態だからです。
私は経営者の顔ぶれを見ていると、可能性は十二分にあると考えます。長らくガソリン主体に動いていた頭をひとたび別方向に舵きりすれば、必ず何かが出てきます。
ユニクロもジャパネットたかたも、元は山口と長崎の個人商店だったわけですから。
COC会員の中には、プリカ単独からカード対応に転換して整備業態と連携を図り、高付加価値でガソリンも増やしている人がいます。カード対応は急務です。
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研修会で実感したことは、決済手段は売り手ではなく、買い手の消費者が使い勝手の良し悪しで選択するものである、ということです。
中国はキャッシュレスというより、カードすら使わないスマホ決済の“キャッシュフリー社会”です。物乞いまでQRコードをぶら下げてお恵みを貰っています。キャシュレス比率が60%以上です。
対する日本は20%未満、ドイツとともに先進国で屈指の低さです。これを以て、決済後進国と評論する人もいます。しかし、両国とも自国通貨に信認が厚いから現金比率が高いゆえにキャッシュレス化が遅れているという背景もあります。逆に中国人は偽造などで自国通貨を信認していないといえます。まさに消費者の選択です。
とはいえ、インバウンド外国人の不満にカード未対応の多さが挙げられています。東京五輪対策として、キャッシュレスインフラが強力に進んでいます。
その点、元売系列の対応は凄まじいものがあります。ポイントヒモ付きのIC現金カード、系列クレジット、一般提携カード、非接触ツール、現金チャージカード、ICプリカ……。圧倒されます。
ただし、系列で標準化された収益業態は確立していません。
重厚なシステムに似合った利益構造が見えないのです。実態としては、ガソリン集客と系列管理(業転買い防止)のシステムです。
さらにシステムが重厚過ぎて、他系列カード客を寄せ付けない閉鎖性もあります。
その点、消費者に対して敷居の低いPBは、カードインフラを持ち収益業態を志向すれば、十二分に戦う余地があります。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局