COCの秋季研修会が終わりました。大人数ではありませんが、全国から手弁当で集まって、深夜まで腹蔵なく語り合う2日間でした。
限られた予算の中ですが、キャッシュレス実践論、SSの業態革新、新電力の活用、再編元売の内部事情、石油流通の変調…といった盛りだくさんのテーマで識者、実務者、ジャーナリストの方々に多様な視点からお話しいただき、相当勉強になったと自負しています。
さて当日、ある方から「この意味を説明できるか」と紙を渡されました。出光興産と昭和シェル石油の「経営統合契約の締結及び中期事業戦略について」という資料で、両社社長連名で記されたものです。こう書かれています。
「私たちは、ダイバーシティ&インクルーシブをもとに、環境・社会と調和を図りながら、お客さま・ステークホルダーとともに、新たな価値創造に挑戦し続ける日本初のエネルギー共創企業です。」
私の頭には難解な言葉の羅列なので、ネット検索しました。検索結果を元に勝手な解釈で意訳してみると、「高い社会性を持ち、違う人間同士がきちんと包み込まれた組織が、お客様と利害関係者を単なる取引先や交渉相手と捉えるのではなく対等な関係で、共に課題に向き合い新しい企業の価値を創りあげる」となりました。
まだややこしい文章ですが、変な横文字を入れるよりはましでしょう。無知だったのですが、「共創」というのは企業マネジメントで話題の概念だそうです。簡単なようで具体的行動に落とすと難しそうです。ようは再編新会社が従来の「元売さん」といった枠組みに収まらない企業になるということでしょう。
「お客様」の主体は特約店・販売店です。「ステークホルダー」のそれは高配当・自社株買いを求める創業家と投資家になります。利害が一致するのは儲かるです。
系列店がガソリンで儲かる場合、市況維持で利幅が確保されるか、仕切りが大幅に下がるかです。後者が主流になれば、元売が利益を縮小する可能性があるので、ステークホルダーの利害とも反します。だから、元売の利益最大化のための「共創」といえます。
変な文章を読んで悩みますが、「環境・社会と調和を図る新会社」とは変幻自在に業態を変えていくことであり、先述のように長年にわたって業界人の頭を支配した「元売さん」との訣別であると理解します。良くも悪くも「元売さん」がある種の精神的支柱にありましたが、確実に変貌すると勝手に解釈します。
SSビジネスで言えば「ガソリンスタンド(給油所)との訣別」です。2社でシェア80%の再編元売は、縮小する国内市場で販促や安売りで伸ばすよりも、原油と卸売価格のスプレッドを固定化して、出荷時点で利益確定ビジネスに入りました。
伸びない市場に金を使って利益確定を損じるよりも、もはやSSマーケティングに金を使いたくないのが本音でしょう。
独立系も業転市場と利ザヤが縮小したので必然的にガソリンにコストを使うよりも、業態転換の速度を速めることになります。高邁で難解な言葉は使いませんが、東京五輪の頃には「業界」という言葉自体が死語になっているかもしれません。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局