COCと独立経営<634>儲かっているうちに経営課題に対応 – 関 匤

前回、「系列内抗争」の流れ弾がPBにも飛んでいる、と書きました。

ところが、この10日ほどの間に原油価格が10㌦も下落しました。供給サイドの高値在庫バーゲンセールとなって、ガソリンの系列非系列格差がL10近く開いています(15日現在)。また、灯油も暖冬のところに原油急落で一気に安値放出で、某PB経営者のところにはしばらく音沙汰のなかった薪炭商社がガンガン売込み電話のオンパレードです。

気になった先物ですが、幸いにしてCOC関係者で高値掴みの“被災者”はいないようです。

昨年4月にJXTGが作った価格体系の恩恵でPB経営者も市況安定の心地よさを実感しており、仕入れメリット優先で小売価格をあまりいじらない方が多いようです。だからものすごく儲かっているはずです。タンク増強に投資した某社など、1カ月で設備費用がまかなえたとホクホク顔です。「トランプ大統領様さま、サインポールに似顔絵入れたいくらい!」と絶叫しています。もっとも、関西や中京では小売でバーゲンセールをするPBが目立ってはおりますが…。

私のアバウトな見方ですが、原油価格は代替エネルギーやEVなど「非石油」への転換が進むラインが上限で、一方、米国シェールオイル企業の損益分岐点が下限かなと見ています。シェールオイル生産はまだ増えているようなので、WTI50㌦辺りがターニングポイントかもしれません。

PBは今のうちに、しっかりと利益を蓄積してほしいものです。というのも、来年に大きな経営課題=投資に直面するからです。

一つはキャッシュレス対応。非接触ICやQRコード決済の流れがどうなるか見えません。政府が鐘太鼓で支援することになりますから、業態特性に合わせたシステム投資を考えなければなりません。

もう一つは「働き方改革」です。その本質は、労働基準監督署の立ち入りと改善指導が強化されることです。中小企業は2020年4月から法制下に入ります。何も対応しなければ、人件費暴騰で労務倒産しかねない問題です。長期で社員並みに働くパート・アルバイトを社員待遇しなければなりません。労働時間と残業手当、有給休暇も労基法順守が強力に指導されます。労基署は捜査権限を持つ官庁で、最悪逮捕まであります。

COCでもこの2点で勉強会を行っています。力のある社会保険労務士をお呼びしましたが、「にこやかで従順なスタッフが突然労基署に駆け込む時代。彼らはネットで情報武装している。そして違反していない証明義務を経営者が負う」との言葉に出席者は背筋が寒くなったようです。

石油業界は元売からSSまでパワハラやセクハラが少なくないので、立ち入りよりも告発が増える恐れがあります。

SSは、少ない人で今以上に効率的に利益をあげるという大きな課題に直面します。現金扱いを少なくするキャッシュレスとコインの裏表の関係にあります。おそらく設備投資と人件費を天秤に掛けたうえで、テクノロジー採用も増えるでしょう。セルフSS無人監視も俎上に上るはずです。

儲かっている今こそ、経営課題をしっかりと考えるべきです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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