COCと独立経営<937>長野第三者委報告の厳しい文言 – 関 匤

商社さんなどから毎週の元売週決め仕切りの値下げ・上げのメールが入ります。7月3日のそれです。

●ENEOS=コスト▲7.0、補助金・ガソリン・軽油10.0円、灯油・重油5.0円。
実質・ガソリン・軽油▲3.6円、灯油・重油▲5.3円で通知
●出光=コスト▲7.0、補助金・ガソリン・軽油10.0円、灯油・重油5.0円。
実質・ガソリン・軽油▲3.6円、灯油・重油▲5.3円で通知。

私は疑問に思うのですが、どうして各社同じ上げ下げ幅なのでしょうか。マーケットを取りに行く気概があるなら、他社より下げて通告する、わが社の事情で利益を取りに行く時は他社より高めに通告する、というのが普通の経済社会の競争です。
まして数量や稼働率でコスト格差が付くコモディティの場合、元売各社の通告に違いが生じて当たり前と思うのですが、私の認識不足でしょうか。

単純計算―営業利益を内需販売量で割ると…(元売の1リットル当たり粗利益)
単純計算―営業利益を内需販売量で割ると…(元売の1リットル当たり粗利益)

“非常に荒っぽい単純計算”ですが、24年度元売決算の営業利益(在庫評価損益除く)を各社の国内販売量で割り返してみました。ENEOSと出光はほぼ同じですが、コスモの利益性が高いですね(画像参照)。元売レベルで1リットル2.7円違うと、かなりの競争力格差となります。
まあ、市場ではSS経営者というプレーヤーが多士済々ということもあって競争原理が働いています。

ガソリン価格サイトgogo.gsを見ると、安値ランキングで7月1日、2日で「147円」「149円」があります。150円台でしのぎを削っています。一方、最高値で驚いたのですが高速道路のSSは「203円」「207円」。最安値組はガソリン税を払っていないのでしょうか(笑)。
価格は自由ですからこれで良いのでしょう。


2月に新聞報道で、長野県石商傘下で事前にガソリン販売価格を連絡する価格談合疑惑が報じられました。3月末、県石商に第三者委員会が立ち上がり、このほど4人の弁護士による調査結果が報告されました。
2月28日に県石商は長野県知事に、概略、「ガソリン価格の調整疑い報道の事実確認はできませんでした」旨を回答しました。しかし第三者委員会報告書が組合員に行ったアンケートの結果はこうなっています。

1・売価の連絡を受けたことがある
=33% ※報道された北信支部は82%
2・売価を連絡したことがある
=18% ※北信支部は45%

県石商の長野県に対する回答は組合員のアンケートで覆されました。そして第三者委員会の見解も非常に厳しいものとなってしまいました。
「価格連絡の禁止」「具体的価格に関する市況調査及び情報交換の中止」「安値店舗等の監視活動及び価格の同調傾向を醸成させていた経営委員会活動は、独占禁止法に抵触する疑い」「組合幹部人事の刷新」(公認会計士や弁護士など外部理事の登用)、「業務監査体制の構築」と厳しい提言がこれでもかと並ぶことになりました。


私も業界にどっぷり漬かってきた人間なので杓子定規なことは言いたくないのですが、一事が万事でこの報告書は全ての都道府県石商に累を及ぼしかねません。「石油村の内部完結」で済ませていられなくなるでしょう。内部完結ゆえに危機意識が欠如していることを報告書は述べています。

「(報道後の)本組合の対応は、繰り返し述べるとおり極めて不適当なものであり、問題の深刻化を招いたといわざるを得ない。その原因の一つは、本組合幹部において危機時にどのように対応すればよいか理解されていなかったことにある。」

最初のボタンの掛け間違いが「報告書」という非常に厳しい形で世に晒されることになったのです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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