COCと独立経営<639>本格始動するコ・ブランド – 関 匤

油業報知新聞に、昭和シェル石油のピザハット複合1号店オープンが報じられていました。100店舗まで増やすとありました。元売主導でSSと生活系企業とのコラボが広がりつつあります。

JXTGは旧エッソのセブンイレブン、ドトールが約250SSあります。最近はカーシェアリングで破竹の勢いのタイムズカープラスステーションをSSに設置しました。さらにコインランドリーBULCO複合店も登場しました。

出光興産は「プリテール」ブランドの10カ所ほどでコンビニ・ローソン複合があります。独自カーリースのオートフラットを開始して、連携してカーケア予約サイトも開設しています。デイサービスも開始しました。今は単独店ですが、販売店の事業化を視野に入れています。

昭和シェル石油は、コンビニブランドの「ストアC」(運営母体はダイヤ昭石)を10数店舗展開しています。コスモ石油はコンビニでミニストップ複合です。いち早くスタートしたマイカーリースは五万台を突破しています。

石油と流通系とのコラボは「コ・ブランド」と呼ばれます。知名度のあるブランドを結合することで、立地の集客力を高めて相乗効果を狙います。米国では30年前から活発化しました。もともと米国SSは石油会社独自のコンビニ業態でしたが、同質化競争に陥ったのでしょう。マクドナルド、バーガーキング、タコベル等々知名度のあるフード系ブランドと複合を行っています。

元売の動きの背景には、従来の系列標準型SSの限界を認識したことがあると思います。「給油所」、「ガソリンスタンド」のまま思考停止してきた結果、ガソリンの価格、ティッシュ進呈、ポイント乱発でしか客を呼べなくなったのでしょう。

コンビニ複合は元売主導以外でもじわじわ増えています。私独自のカウントで350カ所あります。うち150カ所が元売戦略以外の独自複合です。SS経営者の多くはSS複合あるいは事業多角化いずれかを真剣に考えています。

メジャーのRDシェルが出した長期戦略「スカイプラン」で、世界の石油消費は2025

年にピークアウトするとあります。日本はすでに峠を越えています。本格的なSS業態革新に動く、というより動かざるを得ません。

一方、ガソリンを持たない他業界から新規参入も増えるでしょう。資源エネ庁の次世代燃料インフラ研究会は、無人化の可能性を匂わせながら「地域を支えるサプライチェーン」として、SS、コンビニ、LPG販売業、郵便局、宅配事業所、スーパーで相互の「機能融合」が進展する可能性があるとしています。

私の感覚ですが、コンビニ本部は自己コントロールできない商品やシステムを嫌がります。店舗密度が濃くて、元売よりもブランド認知が高いですから、いずれガソリンでも主導権を奪うと考えています。

冒頭のピザ店複合ですが、実は30年前に登場しています。80年代後半の業態化ブームでコンビニ複合とともに現れました。そしてほぼ消滅しました。いつの間にかガソリン増販のアイキャッチになってしまい、身に付きませんでした。コ・ブランド化では、この時代のしっかりした検証とともに、「コンビニ主・ガソリン従」の意識転換が不可欠となります。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局


〒104-0033
東京都中央区新川2-6-8
TEL: 03(3551)9201
FAX: 03(3551)9206