COCと独立経営<646>ガソリン弱者のビジネスチャンス – 関 匤

独占的元売が登場して以来、「ガソリン業界」に対する関心、興味が大幅に薄れています。“ガソリンなんて所詮こんなもんだろう”が本音です。

資源エネ庁、石油連盟、全石連など官庁、業界団体から発信される情報には、補助金利用を除けば原則スルーです。緊急時対策、SS過疎地、サプライチェーン、廉売…など「問題」はあるのでしょうが。

過疎地問題を「ガソリン」で考えること自体が、最初のボタンを付け違えていると思います。地域社会、経済のグランドデザインの中に、1つのピースとしてSSを位置づける話です。緊急時対応など、国交省や防衛省の方がよほど実効性の高い戦略を構築できるでしょう。

安定供給はメーカーの責任であって、中小企業それも系列というFC契約をしている人たちの何ができるのでしょうか。欧州の事業組合のようにロッテルダムから自主輸入でもやっていれば別ですが。そして廉売問題って、いったい何十年やっているのでしょうか。その時々に誰か悪者を作って、排除の論理を交わすだけの不健康な議論の繰り返しです。

そして本紙別稿で西尾直毅さんが書かれているように、元売再編によって系列内のブランドマーケティングが「拘束機能」ばかりが強まり、増えすぎた同系列店同士の「系列内競争」を座視している状況です。

全石連が煽って施行した1967年の揮発油販売業法いらい、「ガソリン」だけで物事を考えてきた結果がこれです。無機質な強制規格のコモディティが、ほんらいあるべき顧客接点の面白み、企業成長の足かせになってきた、といって過言ではないでしょう。だから「ガソリン業界」に対する興味が薄れてしまいます。

それでも毎日、ガソリンを熱心に語る人たちがいます。一方で、私ほど過激に考えなくても、系列・非系列に関係なく店舗ビジネスにおけるガソリンの位置付けを変えている人たちもいます。

どうもガソリンが気になる人たちは販売量が大きいとか石商幹部で、気にしなくなっている人たちは系列弱者や店舗数の少ないPBに多いようです。後者の場合は、経営者が自動車販売とか飲食に対して労力の多くを割いているケースがあります。

元売は未来永劫に「石油メーカー」ですが、流通小売の世界は弾丸が散らばって発射されるショットガンのように、個々に全く違った方向を向いていると感じます。

全体的にはガソリンで利益が取れる状態にありますが、その恩恵は「大手」にあります。1SS店で1円は数万円ですが、大手なら1千万円になります。だから大手はガソリンにこだわります。しかし、商才のある1SS店主ならガソリンの数万円を販促費に使ってでも車を1台売って数十万円の利益を選択します。

こだわる人とこだわらない人に経営者の意識が分かれることは、SSの新たな展開にとって悪いことではありません。石連統計で2018暦年もガソリン販売は▲1.6%で06年以来13年連続の前年割れです。ガソリン大手はM&AをしてでもSSを増やそうとするでしょうが、これは縮小均衡の後追いです。むしろガソリン弱者である方が、新たな事業へのチャレンジを生み出すと考えています。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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