油業報知新聞に2018年度末の元売系列SS数が掲載されていました。
前年比較でみると、SS総数は521カ所の減で、内数のセルフSSは148カ所増です。SS総数は2万3,009カ所です。PBもかなり減少したと思われますので、日本のSS数は3万カ所を割り込んだ可能性大です。
少し詳しく見ると、総数の元売社有比率は25.4%、セルフでは51.1%です。減少したSSのうち社有は13.8%、増加したセルフSSのうち社有は72.3%を占めます。減少SSで社有の歩留まりが高く、増加したセルフSSでは社有比率以上に増加しています。
つまり、減少SSのうち大部分が系列店の自己物件であり、数では大部分を占めながら新規投資のセルフでは3割以下に留まっているということです。
どこかの誰かが「再投資可能な業界へ!」とシュプレヒコールを上げたのは何年前のことだったでしょうか。掛け声を上げた結果が、一般系列SSの一層の減少という結果です。
関心を持ったのがJXTGエネルギーです。統合前の2016年度と比べてみると、系列総数で1321カ所の減少です。そのうちJXは887カ所を占めます。全体の3分の2と同社のシェア以上のSS減少です。これは明らかに「合併効果」です。
単純な話で、昨日までの競合SSが同じマークに変わるわけですから、消費者にとってはブランド内での選択肢が増えるわけです。ガソリン選択の常識である立地・設備・価格でよりよいSSかそうでないかが天秤にかけられます。継続か廃業かで悩む経営者にとっては背中を押す効果になります。同一マークが増えるからこそ起こる「間引きの論理」です。同じことは今後、出光と昭シェル系列店に降りかかるでしょう。
これが経産省が導いた高度化法という名の元売再編の現実です。その結果、いいかげん下げ止まりかけていたSS減少を加速させています。そこで慌てて「SS過疎化対策」で予算を取って、付け焼刃のような逐次対応でパッチ張りをやっています。
元売数の減少に加えて、2社で80%を支配する市場が現出したことによって商社の活力(需給調整機能)が低下して、経産省所管のTOCOMの不活性化を招いています。霞が関自己演出で自演した楽屋落ちの芝居を見ているようです。
諸手を上げて「再編マンセー!」を叫んで、公取委に対して一切異議申し立てをしなかった全石連や系列店が現状に満足しているなら話は別ですが。
規模が拡大する元売ですが、小売り支援施策に関しては独立系の背筋が寒くなるようなものは、今のところ見えていません。
コンビニ、コインランドリー、カーシェアリング、コーヒーショップやピザ店など飲食等々のプログラムは登場しています。しかしことごとくが、FCビジネスに元売のFCでタックスオンタックスならぬFCオンFCばかりです。系列店が独自にFC契約すればやれることばかりです。
あとはオイル、タイヤ、バッテリーのキャンペーン声かけ油外ですが、アフターマーケ市場全体を見渡しても昭和時代から革新なく続いてきた「オワコン」の感があります。話が飛躍しましたが、有効な小売り施策があればSS減少に多少の歯止めが掛かったのではないでしょうか。系列SS数の記事を眺めながら暗然とする思いです。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局