車検と用品交換で経験した嫌な話を書きます。
四半世紀前、車検が物凄く安くあがって喜びました。数日後、幹線道路走行中にラジエーターホースの亀裂でボンネットから白煙が吹きあがりました。ディーラーに飛び込んで高い料金を支払う羽目になりました。「(車検項目じゃないけれど)工場が真面目に点検してりゃ分かるんだけどね」と作業スタッフから皮肉を言われました。
もう1つ本当に怖い体験があります。SSでブレーキフルードのキャンペーンをやっていて声掛けされました。安かったので交換しました。その日の夕方、高速道路でブレーキが効かなくなりました。ペダルが踏み応えなくズボッと床まで入ってしまいました。一切効かないのです。
不幸中の幸いで、大渋滞でノロノロ走行でした。サイドブレーキを引いたままでジワジワと徐行しながら、前方の9㌧車後部に潜り込むように停車しました。運転手に怒鳴られましたが相手に損傷はなく、私の車はボンネットがめくれ上がりこれまた白い蒸気が出ました。
その後ブレーキが復調しましたが、制動できない恐怖と戦いながら知り合いの整備工場に持ち込みました。次年度から保険料が跳ね上がりました。事を荒立てませんでしたが、明らかにSSのブレーキフルード交換が原因でしょう。2年目の新車でしたから。
以来、車検は価格よりも内容を重視するようになりました。命に係わるので、整備工場以外でブレーキに触らせていません。
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ところで、オートバックスが車検告知でテレビCMを流しています。
この会社にしては(失礼)売りイメージを抑えたトーンで、「優秀な人がいる」、「人が乗るんだ」と車検の作業品質に絞って訴求しています。良いCMだと思います。
怖い体験があるので、価格の安さばかり強調するチラシが入るたびに、それは消費者の期待値に合致しているのか疑問でした。
期待値とは「車検をすれば2年間安心して乗れる」という心理です。その期待値で高い出費を納得させているはずです。
もちろん価格は気になります。車検自由化以前には、L100円のダイハツオイル使って8000円と言語道断の見積もりを出す整備屋さんもいたので、価格への不信感はありました。しかし自由化後、価格に関してはSS業界がぶち壊し相当に透明化しました。
となれば技術の信頼性で答えなければなりません。しかしながら、国交省ネガティブ情報検索を見ると、毎月車検の不正行為がリストアップされています。SSも出ています。元売子会社や有力店が少なくありません。分解整備や点検をしないペーパー車検が多いのです。
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国内新車販売が横ばいで、車齢・使用年数が伸びている成熟期にあっては、1台の顧客の意味が大きくなっています。ポイントプレゼントとかリゾート招待などは後の話であって、前面に訴求すべきは車を大事に扱うことです。台数ばかり追いかけるから不正も増えます。何年か前に「量より質」と叫んだのはどこの業界だったでしょうか。
だから、オートバックスの「人が乗るから」というコピーは秀逸です。時代と環境をよく読んでいると思います。それだけに同社はFC本部としての責任も覚悟しているのでしょう。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局