長くなりますが、発言を引用します(要約です)。
Aさん「スタンドの業者の約50%の皆さんの経営が赤字であるというのが、この実態調査の結果であります。」
Bさん「公正競争ルールの確立ということで事後調整の廃止を呼びかけたわけでございます。特約店なんかの中にはやはり仕切り価格の事後調整に対する期待があるというふうに言われておりまして、その廃止につき指導の徹底をしてまいりたいと考えております。
今具体的にコンビニエンスストアの問題も含めまして多角化の方向で検討を進めているところであります。不採算のスタンドの統合という問題も経営の集約化という問題の一環として検討することになるのだろうと考えております。」
Cさん「消費地精製方式の今後の方向は、中長期的には必要な条件の整備を図って、漸進的に極力国際化の方向を目指すということにいたしておるわけでございます。」
以上の発言は、32年前、昭和60年2月22日の衆院商工委員会の質疑です。Aさんは当時野党だった公明党の長田武士議員、Bさんは資源エネルギー庁・畠山襄石油部長、Cさんは資源エネ庁・柴田益男長官の発言です。
読んでいて情けなくなります。一体、32年間、この業界は何をどうしてきたのでしょうか。
①SSの多くが赤字
②事後調整の問題
③事業多角化
④SS経営の協業・統合
⑤国際競争
21世紀の今、資源エネ庁は石油精製・流通研究会で議論されています。しかし、32年前の石油部長は研究会のテーマを認識して行動しています。この間、セルフも含めた自由化、元売の数とSSの数の激減という変動が起きましたが、根本的な問題点は32年前から据え置かれてきたことがよく分かります。
この2年前、昭和58年に、資源エネ庁は「石油流通調査団」を欧米四カ国に派遣して詳細な報告書を出しています。報告書は事業多角化と連動して「セルフ化」の方向性を打ち出しています。某外資系元売は「調査団報告」でセルフ解禁を確信して、その時期を上記の質疑の翌年昭和61年と考えていたそうです。しかしその実現には、干支が一回りしてしまいました。
何十年も前から問題点は整理されながら、後手後手に動くのが業界の特性のようです。昭和60年当時、販売業者には体力がありました。この段階でセルフも含めて自由化すれば、欧米との距離が一気にせばまり、少なくとも今ほど情けない状況は回避できたと思います。この時代なら元売なり商社なり販売業者でもコンビニを買収して本部機能を持ったかもしれません。
一体、誰が進化のための時間を止めたのでしょうか。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局