COCと独立経営<814>元売が支店廃止? – 関 匤

10月27日に東京で、2年ぶりの秋季研修会を日帰りにて行うことになりました。

6月にやはり日帰りで通常総会を行ったところ、なかなかに盛り上がりました。従来は熱海や焼津の旅館を使って1泊2日で行っていました。講師陣のスケジュールなど事前の調整や当日の段取りが多いうえに、社長さんたちを2日間預かると「いびき問題」はともかく、たまに「悪酔い問題」が発生することもあります。私なりに気遣いを要しました。

しかし、日帰り研修をやってみたら精神的には楽でした。若い経営者層にも受けが良く、これも「コロナ効果」というか、この形がCOCで常態化するかもしれません。

会員からのリクエストにより、講師には『「脱炭素」は嘘だらけ』(産経新聞出版)が話題を集めている杉山大志氏(キャノングローバル戦略研究所)をお呼びしています。話を聞けるのが楽しみです。

“業界事情音痴”の私のところまで、色んな話が聞こえてきます。

元売がいよいよ、販売部門のリストラを実行するようです。来春には支店の統廃合あるいは支店制度を廃止する、なんて話も出ています。

業界自由化の前後で比べてみると、販売社員の仕事は一変しているはずです。

自由化以前は、規制が徐々に緩和されている段階でも、従前のように系列SSの数が貴重であり、経営する特約店のお守りが重要な仕事でした。しっかりやらないと業転仕入れに走るし、悪くすると「マーク替え」で他系列に持っていかれます。

また、フルサービス時代ではSS店長の力量、とりわけ労務管理能力が実績を左右しました。販売社員は特約店社長と面談した後で、直営SSの店長さんを訪れて近況を聞いたり相談に乗ったりしました。

販売社員は取引管理、社長さんとの厳しい価格交渉に加えて、リクエストに応じて情報や対応策を提示し、SS店長には優秀SSの事例や販促の提案をするなど、多様なスーパーバイザー業務で担当地域を走り回っていた、というイメージがあります。

各系列に必ず「伝説のセールスマン」が存在しました。これは業転商社でも同様で、ようは“顔で売る”時代でした。

一方、自由化後は、指標価格が生まれて仕切り価格は本社マターとなりました。精製縮小とともに系列・非系列価格差も縮小して、事後調整は合理的なボリュームインセンティブの意味合いを強めました(?もあるようですが)。支店長も権限を持つ取締役が居なくなり裁量権が大幅に縮小しています。

そしてセルフ化は、系列管理を容易にしました。加えてIT技術の劇的進化により、特約店を訪問する機会が自由化以前よりも明らかに減少しています。某社元売関係者によると「SS業界をよく分かっていない担当者が増えてきて特約店を怒らせることが増えた」そうです。

そこで支店統廃合ですが、AIを駆使して本社で取引管理となり、説明会や特約店訪問は出張で対応する、と聞きました。ここで連想したのが、ヨーロッパの完全無人セルフです。

3年ほど前にウェブ記事で読んだのですが、シェルオランダが数百カ所のSSをAIを活用して十数人で管理しているというものでした。原油・製品市況情報、小売り市況や販売数量・在庫を吸い上げて、各地の天候や交通量の変動要因等々ビッグデータをAIが解析して、SSごとに売価を設定し輸送計画を瞬時に動かすというものでした。

支店統廃合と完全無人化は「コインの表裏」の関係にあると思います。桃山学院大学の小嶌正稔先生がCOCで語ったことがありますが、「完全無人になれば販売量は80でも成立する」そうです。確かにスカンジナビアのセルフSSの中には、キャノピーの下に計量機1基という簡素なものがあります。

元売自体がガソリンへのこだわりから離れつつあるようです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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