COCと独立経営<815>OPEC減産分は米中で減殺できる – 関 匤

OPECプラスが200万BDの減産を決めました。また高くなるのかとCOCのPB業者は憂い顔です。
円安に加えて「激変緩和事業」の効果もあって、輸入ガソリンは3月以降、国内業転価格を上回っています。円換算で4月以降は「2ケタ高」となり、6、7月は30円近い輸入高となっています。数年ほど続いていた輸入増加にブレーキがかかり、これまた円安効果でしょう、輸出が増加しています。
そして国内精製は、単純計算ですが、昨年平均に対して今年1-7月は5ポイントほど稼働率が落ちています。
こういう背景が要因となったのでしょう、7、8月は業転が系列よりも安値になった上に、一部では入荷もままならない状況となりました。
現在、非常に気になるのが灯油です。OPEC減産が市場に影響すれば、当然、仕入れに影響します。さらに今冬は寒波が予想されているので、とりわけ日本海側では海が荒れて船が停船したり豪雪が襲来したりするとPB供給は後回しにされる恐れがあります。
ところで、中国経済の停滞がニュースになります。原油調達も戦費稼ぎで?ディスカウントするロシア原油の依存度を急激に高めており、5月は前年の13%が18%になっています。
ロシア原油は3月までサウジ並みだったのが、5月は15㌦も安くなっているそうです。(JOGMECレポート)
気になって中国の統計を調べてみたら、今年の原油輸入量が減少しています。
① 1-7月 前年比 ▲18万BD
② 4-7月 同   ▲42万BD
③ 6-7月 同   ▲145万BD
この調子で減少してくれれば、OPEC減産影響を中国の一国で減殺してくれるのではないか、と密かに期待しています。
それと米国です。バイデンの腹一つなのですが、原油の増産です。
米国の原油生産量は、これも単純計算ですが今年の平均は1187万BDです。コロナ前には1300万BDを生産していました。120万BDの余力があります。トランプのように果敢な支援をすれば、再投資でさらに生産量を上げるはずです。
米国は民主党支持派の「環境派」と、共和党支持者の「環境懐疑派」に世論が真っ二つに割れています。この国は、勇猛果敢に危機や未知の分野に挑戦する開拓者精神と、理想主義で“いい恰好する”という2つの性格が同居しています。
私個人は、“あさっての話”の環境問題よりも国民生活を直撃する危機回避に取り組むべきと考えます。だから、米中にはしっかりと原油高と対決していただきたいと祈念します(中国にとっては不幸なことですが)。
PBの供給不安にふれましたが、これも地域や企業によって温度差があります。
これはCOC会員のことではありませんが、まだ自由化が始まった頃の成功体験が忘れられず、環境変化を理解されていない方もいるようです。
かつては毎朝、何社もの仕入れ先からファックスが届いて、「ファックス紙の価格競争」が展開されていました。その一番安いところから仕入れることができました。今もそういう買い方をする企業は今夏に厳しい経験をしたはずです。
一方、業転流通でも元売系列と同じように担当者との関係で仕入れ安定を図る企業もあります。これは系列の飲食やゴルフ接待という話ではなく、安いスポットに走らず安定的に取引することです。
その他いろいろありますが(書けないこともあります)、今冬をPBが仕入れ調達を磨きあげる「奇貨」としてほしいものです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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