COCと独立経営<831>石油会社の社名から「石油」が消えている – 関 匤

この稿が出る翌日の2月21日はCOCの令和5年度新年研修会です。
今回も日帰りにて東京日本橋で行います。6月の通常総会は宿泊でやりたいなと個人的には考えています。やっぱり、二次会用の部屋で浴衣で好きなことを言い合う二次会が楽しかったですから。
研修会に合わせて会員限定・非売品のCOC会報を編集しています。ここ何年か編集に苦労しています。石油に関して書くことが見当たらないからです。

SSを資源エネルギー庁や全石連のように「給油所」と捉えると、全く面白くもおかしくもない事業に見えてしまいます。セルフという自販機を置いているだけですから、置き場所としての立地・設備を用意するだけのパーキング事業となり「管理人」がいれば成り立ってしまいます。
と頭を痛めていたら、油業報知新聞2月16日付1面で「三愛オブリ」の新社長の記事が出ていました。この会社は「三愛石油」でした。

考えてみたら、元売からSS企業まで「石油」の冠を外したところが多いですね。自由化前、13元売は出光興産を除けば全て「石油」が付いていました。現在、大手3社に「石油」はありません。石油連盟も「石油連盟Fuelプラス」と辛うじて石油を残しながら「プラス」に含みを持たせています。
総合商社の内販商社も「エネルギー」や「エネクス」が語尾についています。昔は「燃料」とか「石油」が付いていました。
COCでも、私が関わって以来「石油」の看板を書き換える企業が少なくありません。「社名のマーク替え」が自由化後四半世紀に繰り広げられてきました。エネ庁の組織からも「石油」の文言が消え去ることになりました。

私が石油絡みで会報編集に苦しむのも、業界が石油から遠ざかっているからなのでしょうか。COC自体もそろそろ「石油の看板」を下ろさなければならないのか、と考えてしまいます。エネルギーなら「CEC」になるし…。格好いいのは「CIA」です。中央・インテリジェンス・アソシエーション。商標権侵害で巨額の賠償を請求されそうです。

さて、元売大手3社の第3四半期決算が公表されました。一応“行数稼ぎ”であらましを書きます。
●ENEOS=売上高11兆3351億円(前年同期比149%)、営業利益2498億円(同47%)
●出光興産=売上高7兆2113億円(同155%)、営業利益2989億円(同107%)
●コスモエネHD=売上高2兆961億円(同120%)、営業利益1529億円(同105%)

ENEOSは製油所事故の影響で営業減益になっています。お陰でCOCのPBさんたちは昨年夏場にとんでもない苦労をさせられました。
私は決算が出るたびに「セグメント利益」に関心を持っています。事業ラインナップごとの資産がどれだけ利益をあげているかが分かります。
各社とも石油精製・販売セグメントは、在庫評価益すなわち原油高による在庫価値の向上で、会計上の利益がかさ上げされています。在庫評価益を除くと、石油セグメント営業利益は「ENEOS▲381億円」「出光12億円」「コスモ307億円」です。
コスモはキグナス供給のおかげで稼働率は定修含みでも97.1%と非常に高くなっています。各社とも原油鉱区部門が好調であることに加えて、ENEOSは金属が毎年堅調に利益を稼ぎ、出光は有機ELなど石化高機能材、コスモも石化が堅調です。

利は元にありの元売が、実力で石油利益を稼げないのですから、社名から「石油」が無くなって当然かもしれません。それが、私をしてCOC会報で石油絡みの話題に苦労するゆえんです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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