昨年11月から続いているマイブームが映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」です。
恥ずかしながらこの歳になって「15回」も観てしまいました。年に1、2回しか映画館に足を運ばない私としては人生初経験です。アジアで初のアカデミー賞・視覚効果賞を受賞したこともあって、上映する映画館に観客が殺到しているようです。
様々な方が評価していますが、この映画は時代設定が終戦末期から昭和22年で、日本が武装解除されて軍隊(自衛隊の前身・警察予備隊も)が存在しない時期です。しかも行政を仕切るGHQ(連合軍総司令部)のマッカーサー司令官がソ連との緊張関係を理由に、日本近海で軍事行動を起こせないと言い出します。徒手空拳の情況でゴジラと対峙します。
また、主人公は特攻から逃げたうえに、着陸した島で臆病ゆえにゴジラを機関砲射撃できず多数の整備兵を死に追いやります。重いものを背負ったままで戦後を生きています。
このまま紹介すれば映画評論になってしまうのでこの辺にしておきます。ゴジラ映画であり優れたドラマになっています。ドラマ性の高さが米国で評価されて100億円に達する大変な興行収入を得ています。
映画のテーマに「生きて抗え」とあります。頼るものがない時に戦う映画の姿勢は、独立系の精神に通じると勝手に考えています。
業界の新聞を見ると、相も変わらず「合成燃料」「(能登地震に絡んだ)災害対策」「CN対策」「SS過疎地対策」といった見出しが並んでいます。
私はSSを小売業、サービス業と考えております。消費者の動向を中心に機敏に変化対応することが一番大事な仕事です。元セブン&アイ会長だった鈴木敏文さんは「変化対応業」と自らを称していました。
セブンイレブンで有名だったSV(スーパーバイザー)の方とたまに会いますが、毎週、全国のSVが東京に集められて会議をしています。その方によると、始まる2時間前にはほぼ全員が集まるそうです。早く来ないと膨大な会議資料に目を通せないからです。会議は資料を読んだ前提で進められますから。
鈴木会長も店舗を見ているので、前週の指示が徹底していないと毎回厳しい言葉を浴びせられたそうです。大エリア、中エリア、小エリアとエリア単位の会議が夕方近くまで続きます。この会議のために、年間20数億円を使っているそうです。
近年とりわけコロナ禍からコンビニ商品はハイスペック化しています。セブンイレブンは顕著と感じています。しかし、客数が鈍化したようで「400円以下弁当」を投入しています。結果がどう出るか不明ですが、客数や客単価そしてFC店の手取りに敏感に対応してるといえます。
石油業界では「事業多角化・異業種進出」も訴求しています。それはいいのですが、事業補助金ありきに見えてしまいます。
シニカルな皮肉と思われることでしょうが、石油村は事業再構築に大失敗した前例があります。1985年から90年頃にかけての「業態転換ブーム」です。消防法が緩和されて、通産行政の規制緩和が進行する中で、セルフも視野に入れてコンビニ、ファーストフードなどを併設するSSが相当数ありました。
フルサービスであったこと、敷地が不足していたという物理的事情もありました。まあいろいろ挙げられますが、結果的に1つの敷地に給油スタッフと店舗スタッフの人件費が重なり、虻蜂取らずに終わりました。
この当時、元売会社は系列店の新しい競争力として併設を推奨していました。これがいつの間にか、新しい収益構造を構築する目的がどこかに行って、ガソリン集客のためのアイキャッチのような存在になっていきました。同時に元売が推奨するからと、販促補助や事後調整の交渉材料にも使われました。
今はEVを気にする状況ではありませんが、ガソリン客数が確実に減少しています。もはや「併設」ではなく「事業創業」であり、新たな事業で店舗への客数と収益を増やすことが喫緊の課題と考えます。
米国ではコロナ以降、コンビニやファーストフードの品質競争(とくに飲食)に入って、弱小チェーンが次々に買収されるか撤退しています。ガソリン市況や補助金頼みではなく「生きて抗え」の事業再構築に迫られていると、小さなCOCを見ながら実感しています。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局