COCと独立経営<888>コロナで一変した小売りビジネス – 関 匤

ウェブにこんなニュースがありました。
「フードデリバリーサービスはコロナ禍の在宅需要を受けて急成長したが、2022年には「フードパンダ」や「XTABEL」「ディディフード」などが相次いで撤退するなど需要は急速にしぼんでいる。出前館も22年第2四半期に878万人いたアクティブユーザーが、24年同期には579万人にまで大幅減少しており、右肩下がりが続いている」(AsageiBiz)

私は使ったことがありませんが、コロナ禍の“巣ごもり生活”に宅配飲食が大きな貢献をしました。10年ほど前、COCの研修会で米国のデリバリーサービスの話を聞いて興味を持っていました。飲食店と顧客を結ぶ「ラストワンマイル」の小口配達代行は面白いと思いました。
“いま出ました!”はギャグになるほど、出前の煩雑さを象徴する代名詞でした。手数料を払ってでもデリバリー業者に出前依頼すれば、繁忙時に料理作りに専念できます。

この代行業が、コロナで異常な成長をしました。ほんらいは「すき間ビジネス」であり、元気な高齢者やシフト空き時間に副業としてやれば売り手と買い手にウィンウィンでした。コロナで産業的な成長をしたことで、前提条件の“巣ごもり”縮小に加えて人手不足と人件費高騰が追い打ちを掛けているようです。


と述べますが、このビジネスを揶揄するつもりはありません。相場の格言の「山高ければ谷深し」に入っていますが、今後、必ずカタチを変えて再起動してくるでしょう。

思いつくままに、コロナ禍にともなう消費者ビジネスの変化を整理してみます。
① コンビニやスーパーのセルフレジ
② 宅配やテイクアウトのシステム革新
③ ネットやBS放送の通販拡大
④ 非接触とキャッシュレス拡大
⑤ ネットフリックスの急成長
⑥ リモートの急激な普及
⑦ 動画サイトとSNSの拡大
…。今思いつくままに記しました。
これらは全てコロナ以前に存在していましたが、コロナを奇貨として一気に拡大しました。中小企業の小さな組織で「テレビ会議」など彼岸の世界でしたが、COCは外部講師によるリモート研修会を3年間に25回も行っています。
通販で面白いなと感じたのは、コロナで京都の有名料理店です。一流の技術を持つ料理人と一流の食材が宙に浮いていましたが、高級おせち等を半値以下の価格で販売しました。飲食の粗利益率は6~7割ですが、最終的な営業利益は3割前後と言われます。食材のロスが生じるからです。しかし、通販で予約を取れば必要なだけの食材を仕入れればよいので、粗利を半分に削っても通常の営業利益を得られます。私は購入していませんが。

私がのめり込んだのは動画サイトです。有名な元プロ野球選手が次々にプラットフォームを立ち上げました。野球だけでなく、動画サイトの面白さは、地上波メディアでは放送できないホンネや実情が平気で吐露されることです。コロナ以降、広告市場が急速に動画に向かっています。


下手な流通評論を書いていますが、では、石油流通市場において小売りの革新はあったのでしょうか?
非接触ニーズに対応した車内で決済可能なQRコード決済が広がりを見せています。しかし、コロナ以前にCOCのPB企業がPayPayをやっていますから、その延長線上に派生したシステムと言えます。

私の乏しい知識で羅列した事項だけでも、スマホ・ネットを介した購買行動が根付いた消費者像から、SSビジネスに何が見えてくるでしょうか。FCチェーンのシステムを活用する手はありますが、やはり独自企画の小売戦略・システムを期待しています。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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