COCと独立経営<948>いろいろと行政処分が増える – 関 匤

今年は公取委と石油業界の“当たり年”の感があります。
ガソリンや軽油販売に直接関係はありませんが、SSにとって馴染みのある企業が価格談合で課徴金処分となりました。
「ダンプトラックやタンクローリーといった特装車の荷台部分に取り付ける架装物などの価格でカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会は24日、極東開発工業と子会社の日本トレクス(愛知県豊川市)に独占禁止法違反(不当な取引制限)で総額約59億円の課徴金納付命令を出した」(日本経済新聞)

COCには独自物流を持つ企業もあるのでローリー談義を聞くことがあります。極東工業はローリーの代名詞的存在で馴染みがありました。
なんだか、公取委がガソリンや軽油の談合疑惑を調べていたらローリーに飛び火したのかと穿ってしまいます。


COC会員で車検整備・車販で実績を挙げる会社が増えています。同時に非常に気になるので、国交省の「ネガティブ情報等検索」を定期的に閲覧しています。自動車整備業者の違法行為が、企業の実名入りで公開されています。
「保安基準適合証等の交付停止」「自動車検査員の解任命令」「事業停止」「指定取消」などの恐ろしい処分も併記されています。
※2025年は1月~8月分
※2025年は1月~8月分

傾向を見ると、年々増加基調にあるのですが、2022年以降急増しています。例の「ビッグモーター事件」が社会問題化してから、立ち入り検査など監視が厳しくなっているようです(グラフは暦年。※25年は8月まで)。

直近1年を見ると石油系があります。しかも元売直販会社2社、系列の有力広域企業、地域の有力特約店の名前があります。

「店長や検査員が勝手にやった」で済ませていては、いずれ“ビッグモーター化”するかもしれません。車検整備は、コモディティ商品ではありません。顧客は高額出費をするのだから、作業に対する期待値を持っています。そこにいかに寄り添うかが車のビジネスです。
つまり生業的な要素が強いのです。台数を誇る前よりも、1台ごとに丁寧に問診しながら品質の高い整備こそ誇るべきです。コモディティではないので、顧客はある程度支払額に幅(予算)を持っています。ガソリンとは異なります。

全国的展開の大手車販店やメーカー大手ディーラーの不正が相次ぐ中で、むしろ経営者の目が届く小規模店はこの状況を奇貨として、自社整備商品を「〇〇品質」として磨き上げ、地域の安心ブランド化してほしいものです。


冒頭に続き独禁法の話です。

2026年1月から「改正下請法」が施行されます。法律名称も「中小受託法」に変わります。中小の下請け業者が発注者による一方的な要求により不利益を被らないための法整備です。原則として、
① 適切な協議を行わずに発注者が一方的に代金を決める行為の禁止
② 手形による下請けへの支払い禁止
③ 対象外だった物品の運送委託にも適用
④ 発注者の社員数も定義して一定数以上は法適用対象となる。

改正法の露払いのためなのか、公取委は毎月現行の下請法の違反行為を公表しています。気になるのが、「委託業者からリベート名目で代金を減額」「下請け鈑金業者に代車無償提供要求」「下請け料金の勝手値引き」「業務委託の対価として高額商品の購入強要」「下請け料金から販促協力金分を減額」…等々。
気になるというのは、石油業界の一部で、“業者”という言葉が蔑称のように語られることです。上記の類似行為が行われていないでしょうか。
全石連や石商は「コンプライアンス委員会」を作っていますが、独禁法は不当廉売だけの法律ではありません。取引の細部にわたっているのです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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