石油連盟の統計データに、総務省調査の「都道府県庁所在市別1世帯当たり年間ガソリン支出金額2023年計」が掲載されています。
この調査は都市別のガソリン消費の違いが、思いきりのメリハリで出てくるので非常に参考になります。特徴を整理します。
①年間のガソリン支出金額最低は東京都区部の1万4466円
②最高は三重県津市で9万8134円
③両都市の支出金額差は「8万3668円」で、津市のドライバーは東京都民の6.8倍もガソリン代金を支払っている
④沖縄県を除く平均支出は6万834円。平均以下の5万円未満都道府県が13に対して、平均以上の7万円超が19カ所
⑤政令指定都市の消費量が軒並み低い
東京や大阪(1万8000円)のドライバーにガソリン補助金を払う必要があるのか、とまでは言いませんが、政令指定都市と地方都市の間に大きな温度差が顕在化しています。
試しに価格情報サイトgogo.gsのガソリン単価を入れて、各都市の「年間ガソリン消費量」を計算してみました。
①東京都区部は年間85リットルで月にすると「7リットル」
②津市は582リットルで月に「49リットル」
③平均は350リットルで月に「29リットル」
県庁所在地の調査であり、郊外エリアの消費量はもっと大きくなります。
しかし、東京都区部の「月7リットル」ってオートバイですか?
政令指定都市のガソリン消費の少なさには、1つは公共交通機関の充実があります。自転車移動もあります。
以前から私が注目しているのは、都市部におけるカーシェアリングの広がりです。パーク24が展開するタイムスカーシェアの月次情報を時系列で見ました。コロナ禍で非接触を望む会員が利用を躊躇したと考えていました。
たしかにコロナ初期には、それまで月2万人前後の会員数を増やしていましたが、1万人台に落ちて5000人という月もあります。しかし、2021年央から勢いが戻ってコロナ以前より会員数の増加がベースアップしています。
コロナ年の2020年1月から直近24年5月までの会員数の増加数は134万人でした。コロナ前の同じ期間の増加数は54万人ですから、かなり勢いが出ています。5万人増える月もあります。
東京都区部や大阪市に象徴される動きと思いますが、政令都市部では「車を保有するカーライフ」が、移動体の多様性によって、都市部と郊外、地方部でガソリン消費に関する考え方の“分断”が起こっているかもしれません。
そういう東京都区部の恩恵を受けながらオフィスワークをしている人たちが、日本全体のカーライフのマーケティングを考えることができるのでしょうか?(別に私が心配することではありませんが)
私が以前書きましたが、大阪天王寺公園駐車場でファミマ前のテスラ給電器には、いつ行っても複数のEVが止まっています。都市部のシェアリングがどのタイミングでEVを投入するか、注目しています。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局