COCと独立経営<896>近畿流通市場の「戦国時代」 – 関 匤

油業報知新聞7月24日付に、COC通常総会と研修会の記事が掲載されました。もっとも行われたのが6月26日ですから、1カ月の間“熟成”したうえでの記事掲載です(笑)。
系列特約店や石商関係者には何の興味もないでしょうが、小さくて予算の無い組織なので、完全に自前で企画して準備から開催まで自己労働の自己搾取です。当日は木下星史理事長が早めに会場に来て、他の理事とともに受け付けまでやってくれます。手弁当でがんばっているのです。

招聘する講師の方のレベルはSS業界では屈指と自負します。だって、他では“本当の話をする講師は不要”ですから。
そういうことで“ごまめの歯ぎしり”かもしれませんが、記者が来ているならばCOCの存在感を伝えくれませんか? 1カ月も油業“放置”するのはどういう了見ですか?と、言を荒げるほど私は直情径行ではありませんが(笑)。


動画サイトで、大阪の毎日放送のニュース番組の特集がアップされていました。テーマは「関西は今『スーパー戦国時代』へ突入」です。
関西以外の有力チェーンが関西市場に相次いで出店しているそうです。肉のハナマサ、OK、ロピアの関東勢、中京のバロー、九州のトライアルなど猛者が参入しています。
ちなみに、バローは愛知と岐阜で3カ所のセルフSS(PB)を併設しています。

背景として関東市場が飽和状態にあるそうです。大阪は1㎞圏の商圏人口が千葉の約4倍ありますが、人口10万人当たりのスーパー店舗数が千葉とほぼ同数です。つまり大阪に伸びしろがあるということです。
もう1つの背景として「業態間競争の激化」があります。経産省の2023年上期のデータとして、スーパーは売上高7.5兆円で、次いでコンビニ6.1兆円、ドラッグストア4兆円と続きます。
これを伸び率で見ると、スーパー業態はインフレ分の伸びにとどまっていますが、コンビニとドラッグは明らかに新規増客の数字となっています。

ということでスーパー業界は伸びる市場への新規出店を掛けています。同時に、食品で勝負する世界なので鮮度と味の競争も激化しています。店舗評価のバロメーターが「惣菜」だそうです。各スーパーともに「一品づくり」に凄まじい精力を投入しています。
メーカーや卸元からの“あてがい扶持商品”ではなく、独自開発の「PB商品」です。ここでしのぎを削っています。


毎日放送の番組を見ていて、彼らが見落としていた大きな存在がコストコです。近くオープンする滋賀県東近江を含めて近畿2府4県に5店舗となります。関東には1都6県で7店舗あります。

人口では近畿は関東の2分の1以下です。コストコの物凄い密集度です。いずれもガソリンを販売します。パナソニック工場跡地に出店した門真店はガソリンを5000販売と聞きました。

関西人の私なりの分析ですが、近畿は関東より面積が広いのですが、中南部で府県庁所在地を東西に結ぶ名神高速エリアに人口が集中しています。高速道は南北、環状に密接に連携しています。関東の半分の面積エリアを縦横に高速網が走り人口稠密度が高くなっています。
中京から近畿への入り口となる三重の四日市インターから近畿の西端の赤穂インターまで2時間34分、近畿の南の和歌山インターから日本海側の中核都市福知山(京都府)まで2時間17分(NEXCO西日本検索)です。つまり巨大物流拠点の伊勢湾と大阪湾がこの時間で結ばれているわけです。「流通業」と呼ばれる人たちにとって“最適の培養土”が近畿市場と考えられます。

コストコのガソリンに関して私は何度も述べていますが、有料会員限定であり広域に既存店から少しずつ集客します。一方、近畿には広域にSSネットワークを構築してきた大手石油企業があります。
SS数が多いゆえに、コストコの「少しずついただく」が複数の直営SSに影響する可能性があります。ガソリンに限らず近畿の消費市場がどう変貌するのか非常に興味深いところです。

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