16日にCOCの秋季研修会が終了しました。北海道から九州まで、地方都市から飛行機や新幹線を使って東京・日本橋にやってくる会員の皆様にはいつも感謝しかありません。
小さな組織ですから、受け付けの資料の封入から参加費用の受領、領収書の発行まで、木下理事長ら理事の方、会員の方々が自ら買ってくれます。
私はこの日に配布するCOC会報の編集作業でヘロヘロになります。なにしろ素人がデザインまでやるので、印刷所とのトラブルは毎回当たり前です。
若い営業担当から「関さんまたですか。頼みますよ~」と苦言を吐かれています。高齢者なんて言い訳は通用しません。
全員が手弁当で開催していますが、手前味噌ながら盛り上がっていただいたと思います。
毎回、講師の方々には忖度なしのお話をお願いしています。エネルギー政策、元売の内情、繁盛店企業とSSについて、私自身が身を乗り出す面白い話をしていただきました。
“嘘も100回言えば真実になる”という諺がありますが、ならばニッチに生きるCOCは「嘘のない研修会をやればいい」ということです。(といって新規会員が増えるわけではありませんが)
A社は、今業界で大流行の“ショートポジション戦略”の筆頭格です。ただその歴史を見ると、日本石油の一販売業者のポジションにありながら、“海賊”と呼ばれるほど、系列特約店テリトリーの盲点であった海上で同系列特約店のシマ荒らしで売りまくりました。(映画「海賊と呼ばれた男」参照)
戦前には中国、満州に販路を拡大して、国際石油資本と真っ向対決してシェアを拡大しています。戦後、石油資産凍結に怒った英国海軍に海上封鎖された独立イランの苦境に、なけなしのタンカーを送り込んで封鎖網を突破して高品質ガソリンを川崎港まで輸入した話は、世界の石油史に特筆されます。
歴史にはリスペクトしますが、現在はあまり期待するものはありません。“自分自身が独立系じゃなかったのかい!”と突っ込みを入れたくなります。
先日テレビで新しいコマーシャルを見ました。私の知らないアイドルの周りで「a」の被り物をした女の子供たちが歌いながら不思議な踊りをします。
背後に洗車の拭き上げや給油中のスタッフが映り込みます。女の子たちと計量機、木製キャノピーのSS、コーティングブースを画像が展開します。
正直、いいコマーシャルだと思います。消費者というよりも、SSで働くスタッフに対するメッセージになっていると感じたからです。
その昔、日本石油が全国6カ所のSSを舞台にした、実際のスタッフと顧客の触れ合いをテーマにしたCMを流しました。日石のサブ店経営者は私の前で涙を流して喜んでいました。「元売は本当の顧客(系列店)に向かっている」と受け取ったからです。
とは言え、COC研修会のたびに実感するのは「元売機能の分離」です。
「石油供給者」としては無視できない存在です。一方、「マーケティングカンパニー」としては、独立系的な感覚で言えば“邪魔者”です。
独立系的感覚とは、「自分の事業をしたい」ことです。SS事業の現状としては、カーケアの深掘りに向かっています。石油供給の世界と違って、車周りのアフターマーケットは先駆者の海千山千が群雄割拠しています。覚悟と熱量を持った人たちです。
先述の旧日石CMの時代は、支店セールスルマンの中にはコンサルティングセールスを行う方もいました。しかし令和の時代に、一生なっぱ服を着て自ら車販の商談をする覚悟を持つ元売営業はいないでしょう。大企業の組織と給与を維持するために行われる「ピンハネ」以外の何物でもありません。
だって、COCで車販の「しゃ」の字も知らずにSS経営を継承した30代の若手が、自ら勉強と実践を経験して3年でスズキの副代理店になってしまう世界ですから。
石油は製造できませんが、マーケティングは自分でデザインできる世界です。今回の研修会で会員と話しながら実感しました。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局