10月23日付油業報知新聞に、COC秋季研修会の記事が掲載されていました。
木下理事長、講師の方のお話の要旨が紹介されていましたが、酒に例えればかなり薄い水割りというか“酒臭い水”といったところでしょうか。薄い水割りの方が変な人たちを変に刺激しないので良しとしています。
苦言ではありません。COCが活動していることが伝わればよいので。
某系列店経営者(COC会員に非ず)とお話をしました。自己物件ではありますが、「元売からの自動配送だね」と言います。ご本人は余りガソリンにこだわっていないし、業転を購入する気持ちもないのでいいんじゃないとしています。
元売再編が仕上がって、供給の縦系列化が強化されつつあります。製油所―内航船―陸上基地―ローリーまで元売が全て差配する体制が進んでいます。
これが「サプライチェーン構築」ということです。その近い将来には、「無人化セルフへの全品送り込み(自動配送)」となり、「石油供給最後の砦」が完成することでしょう。そうなったら必要なのは「運営者」であって「経営者」は必要無しとなりますが。
と、愚痴にもならない話ではなく、冒頭の系列店経営者の話です。
私は自動配送に委ねるのであれば、元売系列は「メーターセールス制度」(MS制度)を復活すべきと提言します。
元売会社でも役員ですら、大半はこのMS制度をご存じないかもしれません。「メーター」とは計量機のメーターです。要は、
① SS在庫が元売在庫になる
② SSはメーターから吐き出した分だけ債務が生じる
という仕組みです。
もちろん、私が勝手に考案したものではありません。石油業界で現実に行われていた取引形態でした。冒頭のCOC研修会でお話しいただいた小嶌正稔教授(桃山学院大)の論文にこうあります。
「メーターセールス制度とは、ガソリン等が消費者に販売された時点(計量機通過時点)で元売から系列店に売上が計上される…1965年からガソリンの乱売合戦による不良ガソリン問題への対抗策の必要性から、品質問題の決め手としてガソリンにメーターセールスが登場」
多くのSS企業は創業期にMS制度を当然のこととして受け入れていました。無くなったのは、1980年10月からです。(※ダンプ松本が全日本女子プロレス入門の年)
私の記憶では、第2次オイルショックによる原油コスト増大、様々な販売規制による精製稼働率低下により、元売経営が圧迫されたことが原因にありました。系列店が在庫を買い取ることになったのです。
ちなみに、この時代までの系列管理はかなり甘かったので、MS制度でも業転買いはあり、それが無くなっても状況に変化はなかったと思います。
MS制度をやればどうなるか?
① 在庫負担無し(固定費軽減)
② 良くも悪くも在庫評価損益が無くなる
③ 在庫欠減が無くなる
④ 担保軽減を要求できる
⑤ キャッシュオンデリバリーや
早払いで取引交渉できる
現実にMS制度を導入しているSSが少なからずあります。「CA」(コミッション・エージェント)です。元売直営SSも同様です。
「系列の縛りが強まる」と懸念しようが、今の元売縦系列供給の強化とマーク替えしたい系列経営者も皆無に近いのですから、むしろ在庫負担を軽減するのは悪くないと思います。夏場に頭が痛い“欠減の多さと欠減補助金の不可思議さ”からも解放されます。
サプライチェーンと最後の砦強化のためにも、「MS制度復活」を検討すべきではないでしょうか。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局