伊勢志摩に政財官の来賓含め500余名を集めた全石連総会に遅れること1週間余、小さなCOCの通常総会が終了しました。浜名湖東岸、大河ドラマ直虎ゆかりの井伊谷の南、舘山寺のこじんまりした旅館に集まったのは約50名。志摩市の飲食店は満員御礼だったことでしょう。対する舘山寺では、コンビニの飲料や煙草が少しだけ増えたかもしれません。比べること自体が無意味ですが。
総会と並行して研修会を行います。非会員でもご参加ウェルカムです。会員より高い参加費を払っていろんな方がお見えになります。ありがたいことです。今回、私と旧知の「飲食店経営者」が参加しました。系列SS経営者ですが、SSを腹心の社員に任せて自身は飲食店に徹して、評判の繁盛店に立ち上げました。Aさんとしておきます。資産としてSSを抱えており、これからを考えるために業界の生々しい話を聞きたいと参加されました。
このAさん、COCの村上直之理事長と面白い共通点を持ちます。自由化時に「カーケアセンター」を構想したことです。取った行動も同じでした。自費で米国のカーケアビジネスショーに参加したことです。
そこで、村上理事長はオイル交換専門業態クイックルブ(QL)に魅了されます。そして、セルフSSに隣接してQLの顧客サービスをベースとした指定整備工場を作り上げました。
片やAさんはショー会場で飲食に詳しい人に出会います。帰国後、自ら厳しい修業を経たのち、お店を開業しました。現在、村上さんは整備業、Aさんは飲食と業界は違うものの「繁盛店」として評価されます。
お二方とも石油業界ではSS数1、2店の「零細店」です。ところが整備、飲食という別のベクトルを向いたとたん、新参者なのに既存有力店と伍して評価されます。似たような話は少なくない筈です。
SS経営者は実務家として優秀なのです。中小企業としては過大な固定費を抱えて、個人保証しながら1SSでも年間億単位の資金繰りをこなします。その上で小売サービスを競い合っています。何度も述べましたが、日本のホームセンター業界を牽引したのは複数のSS経営者でした。
残念なことに「ガソリン様」が経営者の成長を阻害してきました。無機質・同品質・大量消費・消耗品という分かりやすい商品に、半世紀にわたり霞が関・業界団体(除くCOC)と政治家までが口を出し続けてきました。その結果、「ガソリン様真理教」が業界を支配します。
小売経営能力よりもガソリン様への信奉度が優先されて、教団内に序列が出来上がりました。単純なガソリンに難解な理屈と政治力が重なり、数多くの意欲のある経営者が頭を抑えられ成長の芽を摘まれました。
「ガソリンで小売り経営を縛る」と考える人たちがいるようですが、それはせっかくの日本人の能力を限定し、産業発展にも地方創生にも逆行します。村上さんはPBで燃料油主体にセルフ化してヒト・モノ・カネをカーケアセンターに傾注し、AさんはSS経営を社員に任せて飲食に全精力を注ぎこみました。
SS経営者は潜在能力の宝庫なのです。「ガソリンからの自由」―小売業成長戦略のキーワードです。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局