COCと独立経営<914>系列は上流・下流分断の実態 – 関 匤

石連統計を見たら、今年度上期のガソリン販売は前年同期比▲2.2%です。10月単月は▲1.9%です。都道府県や商圏エリアによる温度差はあるでしょうが、減販基調は続いています。
11月は統計が出ていませんがSS経営者に話を聞くと芳しくなく、12月もSS販売は冴えないようです。原油の通関価格は上期が前年並み、10月は2円ほど下がっています。高値に転じると、今月からガソリン補助金の縮小が始まっているので小売価格は目立って高くなり、減販を加速することになります。
「補助金禁断症状」があるのでしょうが、最近目立ってきたのが、系列優劣店による値下げイベントです。「週末7円引き」とか「ポイント何倍」を続けるところがあります。単発ではなく継続して行われているケースもあり、明らかに元売から販促支援が出ています。こういう昭和の系列関係がいまだに続いていることが、まさに宿痾というしかありません。


COCに加入するSS企業は、系列非系列に関わらず「独立系」です。
自己物件SSで燃料油は元売ないしは専門商社から供給されますが、SS店舗を使った経営は完全に自主独立で経営者の戦略による多様性を持ちます。
燃料油特化で行く人、車検・車販などカーケアに経営資源を傾斜する人、事業として飲食業や不動産業に力を入れる人、高齢者・福祉事業を営む人等々、経営者の数だけSS業態も企業体も全く異なっています。

SSに関しては、自由化前は“似通った業態”であり標準という言葉が生きていましたが、自由化とセルフを機に敷地規模に大きな差異が生じ、車検自由化への対応の仕方の違いでカーケアを事業化できたSSと、従来の油外の世界にとどまるSS、コンビニなどと複合するSSなど“似ても似つかない”世界となっています。
COCの場合、元売や業界団体に泣きつけないので、文字通り経営者の才覚次第で企業とSSをデザインしています。その結果、会員数はほとんど変化しないのに、私が関わった20年間でメンバーの8割が入れ替わっています。


COCに限らず、系列SSとりわけサブ店で見られるのですが、やる気のある経営者ほど自身のガソリン流通におけるポジションをよく理解して、トップダウンで車販に取り組むなど、ガソリン収益に依存しない経営を行う例が見られます。粗利の9割以上をカーケア収益で稼ぐ会社もあります。
元売のマークを掲げていても、ガソリンが高く仕切られて低マージンであっても、店舗としての収益を出せるSS企業が少なからず存在しています。彼らの本音を聞きたいところですが、「元売は油売ってるだけの人、私は利益を創る人」なんて返ってくるかもしれません。

元売は石油流通垂直構造の頂点にいると自負してはいますが、製油所の工業製品をただ流しているだけのコモディティ企業です。実務は工場と物流事業者が担っており、系列店との取引も(建前上は)本社で決めたフォーミュラに準拠しています(しているはずです)。
となれば、明治時代から続いてきた特約店制度というFC(フランチャイズシステム)において、減販時代の系列店に対してどのようなシステム、商品、解決策(“ソリューション”という格好の良い言葉は誰でも言えますが)を提示できるのでしょうか。オイルやタイヤの単品キャンペーンを令和の時代に続ける意味はどこにあるのでしょうか。

上流・下流という言葉がありますが、COCという“気まぐれ鏡”の視点でモノ申せば、「上流・下流分断」(意識と本音で)が実情ではないかと感じております。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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