先日のCOC通常総会で、前日に発売された日経ビジネスの大特集が大きな話題となりました。
「石油再編の果て」という大タイトルの下、「窒息する販売店」、「迷走する(元売の)経営」、「爆発する工場(製油所事故多発)」、「市場を開放せよ」という四部構成、16頁の大特集です。これだけ見ても、元売にとり心地よい記事ではありません。
日経ビジネスの前にダイヤモンド誌が「JXTGの規律なき膨張」という、これも厳しい内容の特集記事を組んでいます。公正取引委員会が認めた合併ですが、さすがに2グループでシェア80%という状況に対して、経済メディアの関心を呼んでいるようです。なにしろ1社で売上げがトヨタ並みの会社が出来たのですから。
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しかし、今どきシェアや売上規模でしょうか。年率5%伸びる市場でシェア50%なら凄いのですが、どうみても年率112%の縮小スパイラルです。
しかも石油精製-販売のビジネスモデルは19世紀に確立されています。汎用技術で欧米、日本で産業化され、中国、韓国、東南アジア、中東インドと広がりました。家電や自動車も同様に一世紀前のビジネスモデルですが、より固定費の低い国に組み立て工場を移転しました。誰でもやれる仕事だからです。石油もヒト・モノ・カネを抱え込むビジネスではないのです。
そんな世界でしかも需要が縮小する中でシェアを誇っても無意味です。デジカメが出現しているのに、カラーフィルムのシェア拡大を誇るようなものです。
元売は百も承知でしょうから、春以降、原油―卸値のスプレッド=利益を上げています。ガソリン市場では、元売にとって質の良い=競争に耐えうるネットワーク再編が動いています。直営を含めて系列内リストラが始まっています。
一方、独立系の世界で開幕したのが、「PBドラフト会議」です。有力PBのネットワークや事業買収です。この7―9月に一気に顕在化しそうです。
悪い話ではありません。需要先細りの時代に、1SSに億単位のオファーが来るのです。もちろん、野球と一緒で打率や防御率(=販売実績)次第ですが。
それに、次世代経営者に「19世紀の仕事」をやらせるより、多額の契約金を貰って本人の資質に合う事業転換が可能になります。SSやりたくなったら、東京五輪後なら何分の一の安値で幾らでも買い戻せるでしょう。
どうも、ドラフト会議の背後に元売の影を感じます。事後調整とか支援の手間のない販売量が転がり込んでくるわけですから。買い手の買収資金を得意技の「L幾ら」で補助すれば“有力選手”を幾らでも補強できます。
最近、COCのPB経営者に「スカウト来た?」と聞くようにしています。事務局としてもCOCからドラフト上位指名が輩出それば光栄です。(指名されても入団するかどうか分かりませんが)
COC・中央石油販売事業協同組合事務局