COCと独立経営<917>鼎(かなえ)の軽重問われる価格調査 – 関 匤

何度も書きますが、ガソリン価格補助事業の前提となる石油情報センター調査価格を全く信用しておりません。
というよりも、ガソリンの実売価格を調査するには自己申告やサンプルのヒアリングでは把握できません。売り手側には実売価格を出すよりも高値を報告するインセンティブが働きます。消費者が高値イメージを持つ方がいろいろやりやすいでしょう。

資源エネルギー庁が本気の実売価格を調査したいならば、元売各社にオンラインPOSデータの提供を求めることです。全農も統一POSがあるので協力をお願いすれば良いでしょう。というか外部に委託費を払うならば、SS事業者に情報提供料を払えばどうでしょう(笑)。報告に責任が生じるので正確なデータを得られるでしょう。

エネ庁の調査は「全国平均価格」として公表されて、新聞・テレビで報道されます。メディアは役所の発表やリーク情報で成り立っているので、何の疑問も抱かずに垂れ流すことになります。
消費者にとって「全国平均」は意味がありません。SSの商圏範囲は半径2㎞程度ですから、個々の消費者が居る「局地市況」が本当の価格となります。消費者が欲しいのはこの情報です。


業界にあって一番参考にできる価格調査はWEBの「gogo.gs」です。
サイトに登録した消費者及びSS事業者も参加しています。価格投稿者の“身元”が明らかなので情報確度に対する責任は相当に担保されます。
SS事業者も登録すれば、ネット上に価格看板とカード値引きを表示できます。消費者の登録者に対して「当店は割安」を訴求できます。積極的に価格投稿するインセンティブが働きます。
そして当然、企業名SS名の実名表示です。このサイトは毎日、「全国ガソリン価格ランキング」を更新しています。全国平均を30円以上も下回っています。まさにガソリンは「局地価格」である裏付けです。
凄いですね、1月14日時点で「150円台」がランキングされています。

エネ庁調査とgogo.gsの決定的な違いは、まさにここです。「SSが本人確認された価格」なのか否かの違いです。私が後者に信を置く理由です。

2つを比べてみました。1月15日時点でエネ庁は「1月7日」、gogoは「1月14日」の都道府県平均価格です。

1週間のタイムラグがあります。14日は7日に対して元売通告ベースで「1リットル4円値上げ」されています。gogoの価格は7日に比べて高くなっています。
それで全国平均でgogoはエネ庁より3円強安く出ています。14日には値上げによりこの差は6円前後に広がるでしょう。
最安値県では4円前後の差異があります。14日になれば7円前後に開くでしょう。最高値県は1円程度の差異ですが、この値差も14日は広がります。

この最高値県ですが、エネ庁とgogoに著しい乖離が見られる県があります。例えば鹿児島県です。平均でgogoが「▲7.5円」は調査として大き過ぎませんか。しかもgogoは値上げを織り込んでいますから、14日調査のエネ庁と下手すれば10円以上の差異が生じる可能性があります。


異なる調査でこれほど誤差が出てしまうと、補助金支給は「鼎(かなえ)の軽重を問われる」と過言を恐れず述べます。
公共工事並みの巨額の補助金を投入しているのです。大企業も巨額投資案件に対しては、徹底した「デューデリジェンス」(案件精査)を行います。
であれば、補助事業の大前提となる「ガソリン価格のデューデリジェンス」が不可欠ではなかったでしょうか?

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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