COCと独立経営<921>COCに参加すると元売が怒る? – 関 匤

COCの令和7年度新年研修会が終了しました。有料にもかかわらず全国から50名の会員・オブザーバーにご参加いただき、まことに有難いことです。参加者各位には紙面を借りて御礼を申し上げます。

元売や石商の集まりと決定的に違うのは、一国の主であるCOC会員の経営者が、受け付けや資料の封入など面倒な雑務を引き受けてくれることです。本当に助かります。
研修会の席も座った者勝ちで大手、小手関係ありません。今回、私のミスで研修会後の懇親会の座席表作りが間に合いませんでした。4人テーブル制なので、一応の座席表を作っていたのですが、しょうがないので「勝手に座ってください」でやったら誰も文句を言わないし楽しくやってくれました。終わってホッとしています。


会員に勧められて、オブザーバーで新顔の系列店の方が来られることがあります。しかしリピートしません。面白くなかったのかな、と後で聞くと「元売支店長から嫌味を言われた」とのこと。令和の時代にこんなことやっているのか、と呆れました。
どこの元売も行動規範として、「私たちは、コンプライアンスに違反する状態を放置せず、また加担しません」といった文言を明記しています。コンプライアンスとは「法令順守」です。この支店長様は、憲法に明記された「集会結社の自由」に抵触していますね。最高法規を嘲笑する行為です。
もっとも、一国一城の主である経営者が、たかが企業サラリーマンに過ぎない支店長のお小言に委縮するのはいかがなものかと思いますが…。

といったつまらない話はどうでもいいのですが、研修会でガソリン価格の話がテーマとなりました。
これも伝統的な石油村の話ですが、「安売り」か「高値」かです。“ムラ社会”では両極端な話になりますが、“一般常識社会”では非常にこなれた原理原則で語られます。価格の設定は、個々の経営者が我社の業態、戦略を考慮した上で決定する「経営技術」だからです。
「プライシング」と言われます。建前論とは別にして、実はSS市場ではプライシング技術が駆使されています。

元売がやっている系列クレジットの値引き、提携ポイントの増し増しイベント、アプリやLINE値引きといったものもその類です。ただし、大企業が絶対ボリュームで協力会社に優越的にメリットを供与させているうえに、利は元にありで系列店はガソリンの売り子になっている実態があります。

独立経営にとっては「安く売れる」か「高く売れる」かを、中小企業経営者が自分で考えるしかありません。これがプライシング技術です。
COCの某経営者は、1SSながらカーケアの繁盛店を築き上げました。ヒト・モノ・カネをカーケアに傾注してガソリンをセルフで売っているうちに、「セルフ給油は自販機」と認識しました。元サブ店という遺伝子のせいか安値志向ではありません。
手がかからず楽に大きな売り上げとなり必需品で誰もが買いに来る商品なら、スーパーやホームセンターの目玉商品であるティッシュやトイレットペーパーと同じではないかと気付きます。
そこで、別に勉強したわけでもないのに「粗利合成」というプライシング技術を始めます。粗利の大きい「洗車」「車検」「車販」「板金」…等々と合成することで、店頭価格を下げなくても“(車を買った)アナタだけですよ”と10円値引きを行いました。
別に珍しいことではなく、少なからぬSSで同様の特殊対応が行われています。肝心なことは、値引き対象となるカーケア等に消費者がロイヤリティを持っているか否かにプライシングの成否があります。要は品質です。

石油業界大好きな?コストコですが、会員制度にキャッシュバックがあります。利用頻度が高いと年会費を相殺してしまいます。これが成立するのも、倉庫店の「品質」が支持されるか否かなのです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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