COCと独立経営<923>日本SSは「大時代遅れ」 – 関 匤

米国に「NACS」(全米コンビニ協会)があります。コンビニ・イコールSSの国であり、「SS協会」でもあります。
NACSのHPに「SSの歴史」が結構な文章量で述べられています。面白いので概略を紹介します。


1885年にドイツのカール・ベンツが世界初の自動車を世に出します。オート三輪車でした。3年後、カールの妻・ベルタが自社のデモンストレーションで往復60マイルを走ります。
その途中、燃料補給のために彼女が立ち寄ったのが「薬局」でした。購入したのはベンゼン(ベンジン)でした。この瞬間、世界で第一号SSは薬局となりました。世が世なら、今頃マツモトキヨシが全石連会長をやっていたかもしれません。
スタンドアローンのSSは、諸説ありますが1905年に米国のミズーリ州でシェル子会社が嚆矢とされています。
この間、SS技術イノベーションが進化しています。1910年に現在のギルバーコ社が、地下タンクから地上ポンプに送り込む現在の給油システムを開発します。

1911年に全米シェア90%のスタンダードオイルが、カルテルによる不当な独占として連邦裁判所から解散を命じられます。その結果、石油会社が増加して競争原理が機能したタイミングで、フォードが標準規格のT型を大量生産します。それまで余剰品であったガソリンの行き先が一気に開削されて、SSも急増しています。
私は1920年のSS店頭画像を見て驚きました。フルサービス時代の日本で推奨されていた、スタッフが気を付けの整列待機です。日本の商慣習じゃなかったのですね。

1925年にはオイルなど油外販売が標準サービスとして普及します。さらに1927年、セブンイレブンの創始者・サウスランド社がコンビニ業態を開発します。年中無休、7~23時営業のコンセプトが支持されます。その後24時間営業で差別化するチェーンが現れ、コンビニの増加と競争が始まります。
1930年代には、ガソリン割引サービス、店舗のクリンリネス、販売サービス訓練を石油会社が組織的に行うようになります。
1947年にカリフォルニア州で本格的なセルフSSが登場します。「なぜ高い金を払うのか?」のスローガンで50万ガロン販売とあります。1900キロリットル!です。
1950年にクレジットカード(ダイナーズクラブ)が登場します。
1964年にニューヨーク連邦裁判所が、セルフを禁止する法律を無効とします。これ以降、州によってセルフが増加を始めます。1982年にアルコ社が現金安戦略で一気にシェアを拡大します。さらに同年、セルフの計量機決済が始まっています。
1988年、連邦議会で地下貯蔵タンク(UST)が可決され、規制流出防止および漏洩検出装置にアップグレードすることが義務付けられました。10年間で数万カ所の老朽SSが廃止されました。
1996年、マーフィーオイル(精製会社)のSSがサムズマートに併設されます。石油会社の戦略も含めて米国でハイパー本格成長が幕を開けます。同年、スピードパスが現エクソンモービル系列で一気に普及します。
2000年、特定SSごとのガソリン価格を掲示するサイトが登場。全米で有名な「ガスバディ」となります。


何故面白いのか。令和の時代に元売が得々と「リテールプログラム!」と謳っているサービスは、四半世紀、半世紀前の全米で開発されています。地下タンク対策も含めて1周回どころか3周回遅れです。
私は四半世紀まえにコンビニやスーパーに関わる仕事をしました。彼らは同時代の欧米先進店舗やシステムをリアルタイムで補足して、必死に日本に普及させる努力を続けていました。
日本のSS業界は「大時代遅れ」なのです。役所や業界団体がクチバシ突っ込む業界の常ですが…。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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