総務省が2022年~2024年平均の「主要都市別ガソリン世帯当たりガソリン出費額・購入数量」という統計を出しています。
もう1つ、2017年~2019年平均の同じ統計があります。前者はガソリン補助金含みの支出であり、後者のそれは補助金無しですから、2つを比較してみました。
ただし、この統計は都道府県庁所在地となっています。都市生活者のそれであって、車が足の地方市町村の実態とはかなり異なると思われます。要は数値が小さく出ているということです。
1、22年~24年平均
全国平均で年間支出額は7万11円。年間購入数量は431.1ℓ。
月平均で支出は5,834円、購入量は36ℓです。1ℓ162円です。
月別の支出額ベスト3は以下の通りです。カッコ内は数量。
①三重県津市 8,594円(54ℓ)
②山口市 8,429円(52ℓ)
③鳥取市 8,407円(50ℓ)
支出額4位の前橋市は数量では鳥取市を少し上回ります。鳥取市よりも市況が安めといえます。
月間支出・購入量の“ドベ5”を見ると、あまりの少なさに驚きます(ホントかな?)
・横浜市 3,330円(21ℓ)
・京都市 3,229円(20ℓ)
・川崎市 2,517円(15ℓ)
・大阪市 1,984円(12ℓ)
・東京都区部 1,818円(11ℓ)
2、17年~19年平均との比較
17~19年平均の月平均支出額と数量は次の通りです。
①月間出費額 5,326円
②月間購入数量 39ℓ
③1ℓ当たり 136円
22~24年をこれと比較すると、
①支出額 508円増
②購入数量 3ℓ減少
③1ℓ当たり 27円高
となります。
22~24年はガソリン補助金期間と一致します。仮に補助金が無くて、平均市況が200円になっていたら、月間の支出額は「7,185円」となり、月額1,350円、年間で1万6,000円強の支出額となった計算です。
先述したように、あくまで県庁所在地であり、車の利用頻度の高い地方では年間支出額が3万円前後になっていたかもしれません。
“補助金のお陰”と言えます。一方で、購入数量の減少が顕著に出ています。
全国平均で月3ℓ減ですが、前橋市、津市、山口市、鳥取市、宇都宮市、長崎市、広島市の7市は5ℓを超える減少となっています。
3、ガソリン補助より食品補助では?
この総務省の統計には同時期の「食料品支出」があります。
22~24年平均で見た場合、「生鮮三品」と呼ばれる野菜、魚介類、肉類の世帯当たり月間支出額は次のようになっています。
①野菜類 2万7,155円
②肉類 2万4,537円
③魚介類 2万1,757円
④三品合計 7万3,449円
「月間支出」がガソリンの「年間支出」を上回っているのです。
しかもこの統計は生鮮三品を含めて12科目で取られています。穀類、乳卵類、調理食品、果物、酒類等々すべて合計すれば月額で10万円を超えます。
つごう10兆円も投入するならば、「人間が生きるためのエネルギー」である食料品に補助政策を使った方が、国民は実感を持って政策を支持したのではないでしょうか。輸送や生産用エネルギー補助はありですが、ガソリンの補助は不要ではなかったかと天下の暴論を申し上げます。

(世帯当たり月間支出。 総務省統計より作成)
COC・中央石油販売事業協同組合事務局