前回、新潟市場のことを書いたら、先週木曜日の午前中に新潟のCOC会員から「値戻しが始まりました!関さんが書いたからじゃないですか」と社交辞令でも嬉しい報告が来ました。
密かにほくそ笑んでいたら、くだんの会員が再度の連絡です。「値戻しです。値が元に戻っちゃいました」。新潟における適正価格の寿命は数時間でした。会員の見立てでは、再編元売内でのポジション争いで系列店が数量稼ぎに走っているそうです。
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全石連が、全農エネルギーの廉売に対して農水省に陳情して、公取委の注意にかかわらず地域生業SSの経営を圧迫し続けていると監督官庁に指導強化を求めています。全農エネルギーは全国20府県のうち16府県で廉売を行っているそうです。
ところで、いまだにCOCを「ガソリン安売り集団」と言う方々がいますが、そんな勲章がとっくの昔に返上しています。独立系、PBは中小零細ですよ。仕入れは原則CODで仕入れ即原価確定、そこから利益を削っての販売です。文字通り掛け値なし、業転に事後調整なしでやっています。
PBが安売りで名を馳せたのは自由化以前、フルサービスの時代です。全石連の市場グリップが強力に効いていたお蔭で、系列にも石商に加入せず、系列より10円以上安い業転仕入れがあったから安売りが成り立ちました。
しかしPB経営者は安売りしている意識は希薄だったはずです。なぜなら儲かりましたから。系列店には安売りでも、PBは利益を取れる価格で売っていただけです。
しかし、自由化以降は先物や価格情報会社の登場でブラックボックスだった業転価格が指標価格として公表され、元売再編のたびに系列との価格差は縮小してきました。
また、セルフSSが当たり前になると、ことガソリンについては、立地・設備・価格のハード要因で決まるようになっています。資本力の差がガソリン競争を決定することであり、元売直営や全農など大組織が市場の主導権を握ることになりました。
ハード要因の管理はホワイトカラーで遠隔操作可能です。だから、ガソリンだけを考えれば、親方日の丸、アンタが大将です。中小企業と違って、巨大組織の埋没経費で賄えます。もうCOCを安売り集団呼ばわりしないでください。
ただし、平均1.5%ずつガソリン市場が縮小する不都合な真実があります。5年で8%です。だから数量を抱えすぎた反作用も大きくなるはずです。
100㌔㍑SSなら8㌔㍑ですが、10万㌔㍑を抱えた人には8000㌔㍑分の売上げと利益が陥没します。8%をリカバリーするには原価割れを覚悟しなければなりません。元売直営も全農も新潟の系列店も、伝染病のように一時は猛威をふるってもいずれは終息する筈です。
あるCOC会員が県石商幹部から聞いた話ですが、某元売は直営SSを3年間で3割縮小するそうです。賢明な考えです。全部切り離してもいいくらいです。
この話を聞いて私の想像ですが、元売の連結からオフバランスするのではないでしょうか。不動産とか利益になる事業を付けて、第三者との統合や事業売却が起こると予想します。2005年に米国シカゴに行った時に、ちょうどアモコ社が地域単位で直営ネットワークを売却していたのを思い出しました。
同時に、元売直営の見直しは系列店の再編成と諸刃の剣となります。大手特約店が不採算SSを整理したり、逆に他店から受け入れるなど「置換え」が始まっています。元売再編にともなう過渡期現象がしばらく続くでしょう。
哲学が異なる新規参入者はともかく、「油屋」を本籍とする人は、市況論ばかり口にせず、原価意識の高いPBをもう少し真面目に研究してほしいものです。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局