神奈川県横浜市のセルフSSで顧客の暴走事故が起こりました。
洗車を終えて給油に向かった70代女性客の車が、恐らくアクセルとブレーキを踏み間違えたのでしょうが、計量機に激突しました。ニュース映像で見ましたが、計量機が反対側に倒壊しています。そこで給油をしていた男性客が計量機の下敷きになったのか(執筆時点では不明です)重傷を負いました。
SSにとっては迷惑な事故でしょう。ただし男性が給油中の事故であり、わずかでもノズルからガソリンが漏れたら大変なことになります。
高齢ドライバーが増えているので、無人運転システムの衝突軽減装置など、自動車側の防止策が強化されるかもしれません。となると自動車のシステムが重装備となって、SSなどメンテナンス側も対応の技術力が求められるかもしれません。なにしろコンプライアンスとか責任論とかで、一事が万事の時代ですから。
話は全く変わります。
元売の第1四半期決算が出ました。大手3社合わせて、当期純利益は▲113億円でした。原油下落による在庫評価損です。
セグメント利益を見ると、石油販売は3社とも赤字(評価損込みで)。原油市況の影響で石油開発部門も利益は計上しますが減益です。グラフに、最近6年間の第1四半期の元売3社純利益額の推移をまとめました。同期のドバイ原油の単純平均と併せていますが、きれいに上下動が相関しています。

※元売純利益は6年間の第1四半期純利益。原油はドバイの4~6月単純平均
元売に限らず、メジャー企業でも同様の傾向にはあります。ただし、日本の元売は「国内精製販売企業」です。国内市場でビジネスをするならば、メジャーができないようなローカルの戦略があっても良いのですが、姿が見えてきません。
私は以前から「原油市況波乗り経営」と揶揄しています。というのも、原油市況とは産油国の戦略、国際政治、金融市場等々国内石油会社が関与できないところで価格が形成されます。どんなに優秀な社員がいても国際市況を動かせるわけではありません(カルテルでもしない限り)。
また、セグメントには、
① 石油化学
② 電力
③ 再生可能エネルギー
などが並びます。しかし、石油事業に肉薄するような利益事業にはなっていません。この分野は「石油村」ではなく、幾らでも有力企業がしのぎを削っているわけですから。
てなことは、とっくに投資家がお見通しでありまして、元売の株価も上げ下げも少なく配当期待で持っておくかという評価です。長年の行政依存体質なのか、自力で事業開発する迫力が(私には)感じられません。
でも構造的に国内市場は縮小を続けているので、原油市況波乗り経営は確実に縮小均衡のスパイラルとなります。さらなる製油所の統廃合が見えており、自力で事業開発しないと“タコの足食い”となるでしょう。あるいは他のエネルギー産業との統合です。
冒頭の話に戻りますが、国内会社であればSS網が頼みの綱となります。ならば高齢者による事故防止に、元売自体が積極関与する戦略もアリではないでしょうか。
自動車業界任せにせず、受け入れ側が「事故ゼロ安心SS」を考えることは悪くないでしょう。SSに来る顧客の視点でモノを見る人がいればですが。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局