販促予算が潤沢な元売があるようで、平穏な市場に盛大に石を投げ込んでいます。某COC会員の近隣にSSが新設出店されます。現地を見ましたが、「今どき、ここでやるの?」です。コンビニが閉鎖した跡地です。300坪ほどの敷地で片側一車線。先に分岐点信号があって、夕方には渋滞しそうです。次のコンビニどころかラーメン屋さんもマッサージ屋さんも出てこない場所です。
既視感を覚えました。90年前後、SS規制が撤廃された当時です。空き地さえあれば出店されました。そして閉鎖されました。カーケアをやるには狭隘です。洗車動線確保もきついので、燃料油特化型でしょうか。本当に“今どき?”です。
業界の大きな流れは、再編して大きくなった上で系列SSの選別・整理に動いています。新設するなら、コンビニ跡地でなくコンビニを内包した1000坪級でしょう。“予算があるから使っちゃえ”という、さもしい精神を感じます。
整理・再編を象徴するのがJXTGのブランド統合です。東京五輪までと報道されています。同社はHPで「当社として発表したものではありません。本件につきましては、手続きが整い次第速やかにお知らせいたします。」(6日正式発表)と対応しました。「手続きが整い次第お知らせ」とあるので、事実上、報道追認といえます。
大規模なSSネットワークの整理・再編となるでしょう。首都圏の幹線道路を走っていると、ENEOS、ENEOS、一つ飛ばしてESSOというほどネットワークが重複しています。現状では近隣にESSOマークでセブン―イレブン併設の量販SSがあっても、マークが違えばそれなりに住み分けしています。統合されれば、カード客から大移動が始まります。セルフが10000カ所の時代ですから、立地・設備・販促のハード要因で優先順位が決まるでしょう。
しかし、これは「大きな流れ」であってローカルになれば話は別です。先日、COCの研究会があって十数人の経営者が集まりました。東京都心にあって全国の方言が飛び交う楽しい会になりました。PBが持つハンデを逆手にとって、地方だからPBだからできる「裏ワザ」のオンパレードで大変勉強になりました。
系列SSも、東京主導の大きな流れと地場特化の二つの流れになると予感しています。大きな流れで行くと、限りなくFC契約(フランチャイズ)に向かうと思われます。元売は利益重視で選択と集中を行いますから、そのためには系列統制が不可欠となります。CA(コミッションエージェント)も含めて、東京主導は「準直営」となるでしょう。
一方で、地方の場合は密着度の高い顧客層を持つうえに、町によってはSS存続という社会的要請もある。マークは同じでも東京主導と明らかに異なった方向に向かうはずです。
こんな話を聞きました。大手化粧品会社が20歳女性をターゲットの商品を大々的に宣伝しました。しかし商圏内に20歳女性が見当たらない地方の薬局が、独自POPで40代まで対象に告知してその商品を売ってしまったそうです。地方には地方のやり方がある好例。JXTGではなりませんが、冒頭のような中途半端な系列SSは新設して五輪までの寿命でしょう。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局